「比類なき努力」で築かれた偉人ランパードの素晴らしきキャリア

カテゴリ:メガクラブ

山中忍

2017年02月05日

テリーが語った居残り練習。そしてセカンドキャリアは?

インスタグラム上で長文のメッセージを送ったテリーは、「今までで最高のヒーロー+偉大なレジェンド」とかつての戦友を称えた。 (C) Getty Images

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 FW顔負けの得点感覚は天賦の才だが、ゴール前に顔を出し続けるための走力や持久力、チャンスを物にするための左右両足での正確なシュートといった武器は、日々の鍛錬によって磨かれ続けたものだ。
 
 インスタグラム上で、「チェルシーの歴史上で最も偉大な選手」と胸に響く賛辞を贈ったテリーが、そのメッセージ中で触れた「居残り練習」は、ユース時代からの定番だ。シュートやFKのみならず、ペナルティーエリア間の往復や短距離のダッシュを黙々とこなした。
 
 10年以上前になるが、父親のフランク・シニアに聞いたところでは、こうした絶え間ないトレーニングは「小学生の頃から」の日課のようなものだという。
 
 その姿勢と決意があったからこそ、実父がコーチで、叔父のハリー・レドナップが監督だったウェストハムで「依怙贔屓」と非難したサポーターたちを見返すことができたのだ。
 
 そして、2001年に移籍した際にファンの間で「1100万ポンド(約15億5000万円)は高い」と言われたチェルシーでも、生え抜きのテリーに「史上最高」と讃えられる英雄となり、イングランド代表としても106のキャップ数を記録するまでに成長したのだ。
 
 今後の「セカンドキャリア」はどうなっていくだろうか?
 
「ジェントルマン」としても知られ、語り口も明瞭。さらに夫人が所属する芸能事務所にも籍を置き、昨シーズンのCLでゲスト解説も好評だったことを考えれば、テレビ解説者も自然な選択肢ではある。
 
 しかし、プロの見本、そして努力の大切さを示す「生きた手本」として後進を触発できるランパードには、イングランド代表を筆頭に指導者転身を望む声が強く、自身もコーチングライセンス取得を進めているという。チェルシーを指揮する「夢」を口にしたことは1度だけではない。
 
 ずば抜けた技術や身体能力の持ち主ではなかったが、持てる能力を最大限に高めて最高の現役キャリアを築いた「偉人」には、TVスタジオではなく、サッカーの現場を「次章」の舞台に選んでほしいものだ。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
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