新しい井戸から水が出てくるとは限らない。
さらに、新チームがスタートした後にも必ずなんらかの問題は出てくる。その問題に的確に対処できるかどうかも当然怪しい。降格したのは問題があったからだ。チームを刷新してしまえば、その問題は当面消える。しかし、それはある意味問題を先送りしただけで、いずれ新たな問題に取り組まなければならないわけだ。
Jクラブの社長の多くはスポンサー企業から派遣されてきている。なかには元プロ選手や元監督など、サッカー界を知り尽くしているプロフェッショナルもいるけれども、大半 はサッカーについて深い知識など持たずに社長になる。
1993年の開幕当初、選手も本当の意味でプロとは言えなかった。しかし、やがてプロらしい技術や生活習慣を身に付けた。選手がプロ化したので指導者もプロになっていった。だが、フロントのプロ化は遅れている。
Jリーグ以外の社長が皆プロかと言えばそうではない。例えば、ヨーロッパの地方クラブには一代で財をなし、夢だったクラブ経営に乗り出す人が多い。このタイプの独裁型会長にも色々問題はあるのだが、少なくとも彼らは表に出て責任を負い、批判される覚悟でやっている。
Jの場合、社長は親会社から派遣されているのでオーナーではなく、最高権力者とは言えない場合もある。社長は親会社からの派遣なので上の意思決定には逆らえず、現場の都合とは無関係な意思決定が行なわれることもしばしばだ。そういう体質を持っているので、問題解決が難しいのだろう。
かつて、イビチャ・オシム氏は「新しい井戸を掘る前に、古い井戸にまだ水が残っているか見るべきだ」と話していた。古い井戸を捨てて新しい井戸を掘れば、仕事をしているように見える。ただ、新しい井戸から水が出てくるとは限らない。
文:西部謙司(サッカージャーナリスト)
Jクラブの社長の多くはスポンサー企業から派遣されてきている。なかには元プロ選手や元監督など、サッカー界を知り尽くしているプロフェッショナルもいるけれども、大半 はサッカーについて深い知識など持たずに社長になる。
1993年の開幕当初、選手も本当の意味でプロとは言えなかった。しかし、やがてプロらしい技術や生活習慣を身に付けた。選手がプロ化したので指導者もプロになっていった。だが、フロントのプロ化は遅れている。
Jリーグ以外の社長が皆プロかと言えばそうではない。例えば、ヨーロッパの地方クラブには一代で財をなし、夢だったクラブ経営に乗り出す人が多い。このタイプの独裁型会長にも色々問題はあるのだが、少なくとも彼らは表に出て責任を負い、批判される覚悟でやっている。
Jの場合、社長は親会社から派遣されているのでオーナーではなく、最高権力者とは言えない場合もある。社長は親会社からの派遣なので上の意思決定には逆らえず、現場の都合とは無関係な意思決定が行なわれることもしばしばだ。そういう体質を持っているので、問題解決が難しいのだろう。
かつて、イビチャ・オシム氏は「新しい井戸を掘る前に、古い井戸にまだ水が残っているか見るべきだ」と話していた。古い井戸を捨てて新しい井戸を掘れば、仕事をしているように見える。ただ、新しい井戸から水が出てくるとは限らない。
文:西部謙司(サッカージャーナリスト)