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【日本代表】小林祐希の原点<4>19歳で10番、主将、移籍… そしてどん底からのリスタート

カテゴリ:日本代表

加部 究

2016年11月12日

目標から5年遅れでようやく日の丸をつける。

欧州移籍が決まり、第2ステージ8節のG大阪戦後にサポーターへ別れの挨拶。感極まり涙がこぼれ落ちた。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 しかもさらに逆風は強まる。クラブはJ2に降格し、翌年完全移籍に切り替えた祐希は、シーズンを通してわずか1試合しかリーグ戦のピッチに立てなかった。
 
 祐希は2度目の大きな試練に直面していた。しかし、監督として古巣の磐田に戻って来た同じレフティの名波浩が、どん底から救い上げた。プロ昇格以降は一貫してボランチとしてプレーをしてきた祐希をトップ下に引き上げ、レギュラーとして使い続けるのだ。
 
 改めて冨樫が振り返る。
「東京V時代にボランチとして起用したのは、河野広貴(現FC東京)との共存も含めたチーム事情です。攻守に携わることで、もう一歩先に、という思いもありました。でも一方で、トップ下こそが適性で、どこかのタイミングで戻そうとも考えていました」
 
 数年前から海外移籍を視野に入れていた祐希は、自腹で英語の家庭教師を雇い、会話に磨きをかけてきた。目標を掲げ、そこから逆算して脇目も振らずに行動を起こす。それを丹念に積み重ねて、ようやく目標から5年遅れで日の丸をつけた。
 
 冨樫の口調は、確信に満ちていた。
「途中で横道に逸れ、曲がりくねった道を歩む者もいれば、タイミング悪くよそ見をしてしまう者もいます。そんななかで、祐希はすべてをサッカーに懸けて、ブレずに信じた道を縦に突き進んで来た。それが一番(の成功の要因)です」
 
 大きな夢が、依然としてはるか彼方にある。しかし少しずつだが、着実に近づいている。 (文中敬称略)
 
取材・文:加部究(スポーツライター)
 
◆プロフィール
小林祐希(こばやし・ゆうき)/1992年4月24日生まれ、東京都出身。182センチ・72キロ。JACPA東京FC̶―東京ヴェルディJrユース―東京Vユース―東京V―磐田―ヘーレンフェーン(HOL)。エーデルディビジ通算1試合・0得点、J1通算36試合・5得点、J2通算138試合・14得点。独自の発想力と技術を併せ持つ天才レフティ。目標とするロシア・ワールドカップ出場のため、今夏オランダの名門ヘーレンフェ ーンに新天地を求めた。今年6月に日本代表デビューを飾ったばかりだが、闘争心剥き出しで定位置奪取を狙う。
 
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