【識者の視点】発想の軸がリアクションの指揮官の下で日本代表は軌道修正できるか

カテゴリ:日本代表

加部 究

2016年10月09日

長所を生かすことで日本化を図ろうとした監督たちに対し、ハリル監督の発想は?

いまの日本代表からはかつての特長がすっかり失われている。長所を生かす発想がなければらしさを取り戻すことは難しい。(C) SOCCER DIGEST

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 一方で今では本田圭佑は、完全に逆サイドからのクロスに対するヘディング要員と化している。おそらくそれが精彩を欠いても起用し続ける理由だ。やはり根底には高さ重視の傾向があり、槙野智章、丹羽大輝、遠藤航らCB系の選手を次々にSBで試して来た経緯が、それを物語る。盛んにデュエルばかりを強調することからしても、発想の軸にはリアクションがあり守備がある。
 
 オシム、吉武博文、あるいは佐々木則夫らの各指揮官は、長所を生かすことから日本化を押し進めようとしたが、ハリルホジッチ監督の発想は欧州の強豪国と比較して何が足りていないかに端を発している。
 
 少なくとも日本は、せめてアジア内ではひと目で判る特徴的なスタイルで戦って来た。だから逆に、支配率やチャンスの数との比率で決定力の乏しさがクローズアップされて来た。しかしハリル時代に入って、肝心な特色さえも消えた。まさしくイラク戦は、ミスジャッジに救われ、勇気とプライドで手繰り寄せた勝利だった。
 
 浦和のミハイロ・ペトロヴィッチ監督は、日頃から日本の事情について皮肉る。
「日本では結果ばかりで判断する習慣があるが、私は内容に拘っている」
 
 確かに結果で一喜一憂するのではなく、質を見極め未来に向けて適切な判断を下すのがプロの現場の仕事である。日本が日本らしさをすっかり失った今、軌道修正の遅れは致命傷になりかねない。
 
取材・文:加部 究(スポーツライター)
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