試合の中で勝負どころや踏ん張りどころを見極め、チームを助ける。その一連のなかで、今回のゴールも生まれた。
「情けない。自分にガッカリです。90分間プレーできなかったことが、やるせない」
自分が交代したために、ベンチに控えていた強力な攻撃のカードを使えなかったことなど、様々な敗戦の責任を感じていた。また、森谷賢太郎に許した失点シーンについても、次のように悔やんだ。
「2、3回はあったボールを取れるところで、奪い切れなかった。抑えるチャンスはあった。落ち着いて対処していれば、防げたものだった」
勝てば年間勝点でも首位に立てるチャンスを逃したとあって、口をついて出るのは反省の言葉ばかりだった。
那須大亮からは以前、「バッファロー。力は強いが、しっかり自分をコントロールしろ」と言われたことがある。実際、今年30歳になった森脇はカッと熱くなる場面が減った。加えてチーム全体を俯瞰しながら、持ち味であるクサビのパスやフィードを使い、数多くの“ここぞ”という場面でチャンスを作ってきた。
試合の中で勝負どころであり、踏ん張りどころを見極めて、チームを助ける。その一連のなかで、今回の大一番でのゴールも生まれた。
「(川崎に再び差を付けられたが)まだまだ、逆転できる。このままの順位で行くほど、Jリーグは甘くない。次に生かして、一つひとつ勝点をまた積み重ねていきたい」
進化するバッファローだ。勝利やタイトルへの渇望を力に変えながら、プレーは熱く、ハートは冷静に――森脇がそう心掛けて突き進んで行く。
取材・文:塚越 始(サッカーダイジェスト編集部)