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【指揮官コラム】カターレ富山監督 三浦泰年の『情熱地泰』|五輪で感じた日本の「美しさ」

カテゴリ:連載・コラム

サッカーダイジェストWeb編集部

2016年08月16日

やはり「美しさ」には攻撃的なプレーが求められる。

日本はグループリーグ敗退となったが、アグレッシブなサッカーで果敢にゴールを狙った。その姿勢を三浦監督も高く評価する。写真:JMPA/小倉直樹

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 サッカーは残念ながらグループリーグを突破できなかったのだから、少し厳しい見方をしなければいけないのかもしれないが、その内容を見れば、今回の手倉森ジャパンは日本サッカーの魅力を世界に発信できたと言えるのではないだろうか?
 
 その大きな理由として、攻撃的なサッカーを見せてくれたことが挙げられる。失点はあったが、得点も多かった。そして、得点の多くが崩して奪ったゴールであり、サッカーの醍醐味を十分に感じさせてくれた。
 
 さらに攻撃陣の主軸では、大島僚太(川崎)や中島翔哉(FC東京)という決して身体能力や体格に恵まれている訳ではない、国内でも小柄な選手たちが躍動した。彼らが絡んだコレクティブなシーンは、ゴールにもつながり、もっと見てみたいと思わせるサッカーだった。
 
 一方で課題もたくさん出たし、サッカー知性が足りないというか、もっとサッカーを知らなければいけないと思うシーンもあったが、「日本らしさ」は出せたと思う。もちろん、これは主観ではあるが……。
 
 そして僕は南米、ブラジルで生活した経験があるからこそ、日本のチームが南米で勝つという難しさは誰よりも知っているつもりだ。その難関の地での初戦、打ち合いの試合を落としたことで、ズルズルといってしまいがちな展開を、第2戦のコロンビアでは引き分けに持ち込んで勝点をゲット。続くヨーロッパ王者のスウェーデンからは勝利をもぎ取った。グループリーグ突破はならなかったものの、内容的にはしっかり爪跡を残したと言えるのではないだろうか。
 
 もちろん他のスポーツとの比較を考えれば、結果とは表彰台やメダルなどを取ってこそのものと言われるであろうが、世界のサッカー界での日本の立場やこの舞台で披露した内容を考えれば、今回の日本は結果以上の何かを残したと言っても良いのであろう。
 
 ただ柔道、体操のような「美しさ」を感じるまではいかないことを考えれば、まだまだやらなければいけないことはある。
 
 最近なら2010年のスペイン、2014年のドイツ、振り返れば1970年のブラジル、1986年のマラドーナを擁したアルゼンチンなどは、ワールドカップで美しく優勝した。
 
 やはり美しさには攻撃的なスタイルが求められるし、「攻める」プレーには魅力がある。
 
 他国の選手団を批判する訳ではないが、柔道も「ただ勝てば良い」では美しくない。柔道着はだらしなくはだけ、組まず、技も巧みではなく、一本を取りにいく訳でもなくポイントで勝ちに行く。こうしたスタイルにはまったく魅力を感じない。
 
 サッカーで言えば、守りを固め、攻めることを放棄し、相手の攻撃を壊すための守備に意識を高め、ひとつのチャンスを待つ。決してリスクは冒さない、といったサッカーになるだろうか。
 
 保守的で、人の言うことを聞いて実行するのが得意と言われがちな日本人が、世界で美しく輝いた柔道、体操、水泳。改めて拍手を送りたい。
 
 この後もリオ オリンピックは目が離せない。
 
 そして18歳から永住権を持ち、ブラジルと深い縁のある、僕にとってのリオオリンピックとは……。考えられない。やはり時代の変化を感じる。
 
 多くの日本国民も感動したオリンピックは、やがて世界中がひとつにまとまり、閉会式を迎える。縁の深いブラジル開催のリオオリンピックの成功を祈りたい。
 
2016年8月15日
三浦泰年
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