――逆に、藤春選手から見た遠藤選手の存在感はどうでしょうか。
 
藤春　ヤットさんは、おそらく外から観ているイメージとは対照的に、試合中はピッチの中で一番走っているんじゃないかってくらい、どこにでも顔を出してくれます。攻守の切り替えや、僕が攻め上がった際のスペースのカバーもめっちゃ速い。ピッチ上ですごく気を利かせてくれます。
 
あと、ヤットさんがいないとパスが回らなくなる。いる・いないで、裏に出てくるパス数も違うし、そのタイミングも、僕のスピードが落ちない絶妙なタイミングで出してくれるから、めっちゃやりやすいです。
 
遠藤　パススピードは当然、各選手の足の速さ、特長を考えて変化させるから、ハルにはハルに合ったパススピードで……とは思っているけど、最近は一緒にプレーしている時間も長くなってきたからね。そこまで気を遣って出す感じではなく、どちらかというと肌感覚で出してるよ。
 
藤春　その肌感覚もスペシャルです。最近、ヤットさんはトップ下でのプレーも多いですが、そうなれば相手を巧く背負いながらキープしてくれる。第２ステージに入って厚みのある攻撃が増えている理由も、そこかな、と。ヤットさんが自由に動いてくれると、攻撃の構築でバランスが取れますから。要はトップ下でもボランチでも、存在感は絶大です。
 
――最近は試合中のポジション変更もありますが、監督の指示ですか？
 
遠藤　監督の指示による時と自分の判断でやる時の両方です。でも、それができるのは（倉田）秋がいるからこそ。秋も複数のポジションでプレーできるから、状況に応じてポジション変更が可能になる。
 
そもそも僕の理想は、ＧＫは別として、フィールドの10人が状況や相手の戦い方に応じて、システムなりポジションを自由に変えながらプレーすることですからね。そうなれば、途中でのシステム変更が可能で、相手にとってより嫌なプレーもできるはずだから。そう考えても、ポジションを変えながらチームとして機能すれば、それがチームの武器になると思う。
 
――第１ステージは６位で終えました。タイトル獲得を目指すうえで、第２ステージはどんな変化や修正が必要だと感じていますか？
 
遠藤　第１ステージは確かに良くなかったですよね。ＡＣＬも結果的に１勝もできずに終わったし。その理由はひとつじゃないけど、大きく言えば監督のせいです…って自分でおっしゃっていたので（笑）。
 
それは冗談ですが、前半戦はチームとして攻撃のバリエーションが少なすぎました。それを踏まえて、個々が様々なチャレンジを試みたけど、なんて言うか、目指しているところは同じでも、エレベータで昇ろうという選手と、階段で行こうという選手がいるなど、感覚のズレが否めなかった。
 
でも第２ステージはチームとしての歩調も合ってきたし、個々の役割もシンプルになったからね。簡単に捌いてサイドを使うとか、奥まで運べたら速いクロスを上げて、前線は中に突っ込むとか。個々がシンプルにプレーするようになり、攻撃のバリエーションが徐々に増えてきた。
 
藤春　確かに第１ステージは攻撃のバリエーションが少なくて、単調だった分、相手が守りやすそうでしたよね。でも最近は、個々が走れているし、ボールも動いて、連動してプレスもかけられている。それができれば必然的にテンポも生まれてくる。それをより高いレベルで追求するためにも、個人的には走りの量や質を求めたい。
 
またチームとしては、攻守に連動したサッカーを90分通してやり続けて勝点を積み上げ、タイトル獲得を目指したいです。
 
 
取材・文：高村美砂
※サッカーダイジェスト８月25日号より抜粋。なお、ただいま発売中のサッカーダイジェスト8月25日号には、遠藤選手と藤春選手の対談の全文を掲載。岩下、金、初瀬選手らのスペシャル対談などを加えたガンバ大阪ダイジェストはファン必読の特集です。