残る２人はラージョ・バジェカーノとも強い結びつきのある人物だ。現監督のイニゴ・ペレスがその１人目で、昨シーズン、ラージョをクラブ史上２度目となる欧州カップ戦出場（カンファレンスリーグ）に導いた。ちなみに前回UEFAカップ（現EL）に出場したのは、フェアプレー枠（警告や退場の少なさ）によるものだった。

　ペレスはビエルサとの関係を次のように語る。「私は感謝の気持ちを大切にしている。マルセロはプレー以外の面でもとてもよくしてくれた。今も良い友人で、彼との関係を宝物のように大切にしている。彼は近づくのが難しい人物だけど、何度か会ったこともある」

　そして近年上昇カーブを描くラージョの礎を築き、指導者に転身した元アスレティックのビエルサチルドレンの中でトップを走るのがアンドニ・イラオラだ。ラージョを踏み台に、23年６月にプレミアのボーンマスの監督に就任し、３年目を迎える。
 

　ペレスとはラージョとボーンマスで監督、アシスタントコーチとしてタッグを組んだ仲でもある。イラオラもまたビエルサへの感謝の言葉を惜しまない。

「本当に感謝している。彼は私にフットボールを別の視点から見ることを教えてくれた」

「彼は新しいアイデアとトレーニング方法をアスレティックに持ってきた。最初の数か月は苦労したよ。彼の分析力が高すぎて、その基準からすれば我々のトレーニング内容はひどいものだったのだろう。しかし、時間の経過とともに徐々に慣れてきて、それがいくつかの素晴らしい試合を見せることにも繋がった」。

　ムニアインも「ビエルサは天才だ」と断言する。「私が知る中で、フットボールに関する知識が最も豊富で、最も分析力に長けた人物の1人だ。彼と出会えたこと、彼の下でプレーできたことを永遠に感謝している。彼とともに得た経験と学びは、私にとって大きな財産だ」 

　エドゥアルド・ベリッソ、ホルヘ・サンパオリ、ダリオ・フランコ、フェルナンド・ガンボア、ロベルト・センシーニ、ヘラルド・マルティーノ、マウリシオ・ポチェッティーノだけではない。バスク人の中からもビエルサに感化された指導者が次々と誕生している。

文●ホン・リバス（エル・パイス紙アスレティック・ビオバオ番）
翻訳●下村正幸

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