これまで多くのプロ選手を輩出してきた四中工で、その多くが１年生から出番を掴んでいた。中西、坪井、浅野はもちろん、小倉隆史や森島司、舘幸希らもそうだ。

「１年生が良い代は、上の学年の選手も刺激を受けて成長するんです。だからこそ、与那覇はこの経験を糧にもっと怖い存在になってほしいし、大久保も『次期17番候補』（17番は四中工で伝統のエースナンバー）としてもっと成長してほしい」と語る伊室監督の大きな期待は、２人に十分に伝わっている。
 

「この重要な局面で起用してくれたことは嬉しいですし、もっと期待に応えたい。もともと四中工に来たのは、ハードワークと強度の高いプレーを見て、『ここなら武器であるスピードを高強度のなかで磨いて、もっと強烈な武器にできる』と思ったから。こうしてトップクラスの強度を目の当たりにして、『ここに来て間違いなかった』と思いました。この試合をバネにして、日頃の練習の強度にもっとこだわってやっていきたいです」（与那覇）

「試合に出させてもらったからには、もっと貢献しないといけないと思いました。ゴール前の勝負強さが武器ですが、もっとこういう相手にもこじ開けられるような選手になりたい。もちろん17番はエースの証なので狙っています」（大久保）

　福島の地で２人が照らした伝統校の明るい未来。この光を消さないように、彼らは弛まぬ自己研鑽を続け、より眩い光になっていくことを誓った。

取材・文●安藤隆人（サッカージャーナリスト）

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