平河、鈴木唯の２人に比べると、関根、藤田、俵積田、高井の４人は「もう少しできたのではないか」という印象が強かった。

　関根に関しては「相手に１対１で負けることなく守れてたんで、そこは自分の成長を感じることができた」と語っていたが、多少のミスが散見され、攻撃参加もやや遠慮が見て取れた。所属クラブが２部降格を強いられ、そのダメージも多少残っていたのかもしれないが、代表定着という意味では攻守両面の安定感をもっと向上させる必要がありそうだ。

　藤田も佐野海舟（マインツ）と初めて組んだせいか、前半はあまりボールを受けられなかった。だが、時間を追うごとにタッチ数が増え、攻守両面のかじ取り役として存在感を増していった。鎌田とコンビを組んだ終盤は明らかにやりやすそうだったが、最初からトップパフォーマンスを出せるように、持ち味の統率力やリーダーシップを前面に押し出していくべき。そこに課題が残された。

　俵積田は立ち上がりから何本も縦への突破を披露。森保監督からの要求に応えようと懸命なチャレンジを続けた。その姿勢は称賛に値するが、ゴールに直結する仕事という意味ではまだまだ物足りなさが見て取れる。

　本人は「人生で一番緊張した」と話し、メンタル的にかなり難しかったようだが、それを乗り越えることが肝心。「ポスト三笘薫」との期待が大きい選手だけに、ここからが本当の勝負だろう。
 

　高井はアクシデントによる途中出場で、不慣れな３バックのセンターということもあり、守備陣の統率はハードルが高かった。ただ、失点に絡んでしまったのは事実で、瀬古歩夢（グラスホッパー）との関係性もあまり良くなかった。困難な状況下でも常に周囲と密な意思疎通を図り、安定感をもたらせるようにならないと、DF陣の大黒柱の大役は担えない。この敗戦を本人がどう受け止め、今後に活かすのか。そこに注目していきたい。

　いずれにせよ、この１試合で「パリ世代が既存戦力を一気に追い上げる」という構図には持ち込めなかった。彼らの底上げがなければ、日本代表の選手層は頭打ちになってしまう。今回の森保監督の大胆なテストを無駄にしないように、パリ世代にはもっともっと貪欲に代表定着を掴みに行くべきだ。

　10日のインドネシア戦では劇的な進化を示してほしいものである。

文●元川悦子（フリーライター）

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