「胸を張って熊本に帰って、もう一度準備をして次の試合に挑みたい」(巻)。
試合後、選手たちが挨拶に向かった熊本側のサポーター席には、3つのフレーズが横断幕として掲げられていた。
「県民に元気を」「子どもたちに夢を」「熊本に活力を」――。これは、05年のクラブ発足当時から掲げてきたクラブ理念だ。
もちろん、これまでもこの3つの言葉を胸に選手たちは戦い続けてきたが、今回の震災を受けあらためてクローズアップされるとともに、その意義を再確認した選手たちの心を焚きつけてもいた。試合中、体力的に苦しくなっても選手たちの足を動かし続けたのは、理念の存在も大きく関係していたに違いない。
今季初先発したGKの畑 実は言う。
「コンディション云々はさて置き、みんな気持ちは持って戦っていたので、結果が伴わなかったのは残念です。自分のミスでゲームを壊してしまったのも悔しいですけど、まだまだ試合が続くので頑張りたい」
その畑は、震災による被害がもっとも大きかった益城町出身で、「実家は崩壊し、自宅も住める状況にはない」(畑)。避難所生活を余儀なくされただけに、精神的、肉体的苦痛は身に染みている。それゆえ、サッカーを通じて県民に勇気を与えようとの気持ちはひと一倍強かったはずだ。
特別な試合で勝利は逃したが、まだ始まりに過ぎない。そんな畑の気持ちに、同じ熊本出身の巻も同調する。
「正直、勝点1でも熊本の皆さんに届けたかったですし、1ゴールでも多くのゴールを届けたかった想いはあります。無力感や悔しさとかいろんな想いがありますけど、みんながゴールを目指して足を動かした。そういう意味では、胸を張って熊本に帰って、もう一度準備をして次の試合に挑みたいと思います」
熊本でのホームゲーム開催は7月の再開を目処に調整を進めているため、次節の水戸戦(@柏)を含め、しばらくは各地を転々とする。さらに今後は順延分の試合が主に平日に組み込まれる公算が強く、タイトなスケジュールは不可避だろう。
それでも、勝利を待ち望むファン、サポーターのために、勝点3を目指すスタンスは崩してはいけない。復興のシンボルとして、「県民に元気を」「子どもたちに夢を」「熊本に活力を」与えるために、誰ひとりとして足を止めるつもりはない。
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)
「県民に元気を」「子どもたちに夢を」「熊本に活力を」――。これは、05年のクラブ発足当時から掲げてきたクラブ理念だ。
もちろん、これまでもこの3つの言葉を胸に選手たちは戦い続けてきたが、今回の震災を受けあらためてクローズアップされるとともに、その意義を再確認した選手たちの心を焚きつけてもいた。試合中、体力的に苦しくなっても選手たちの足を動かし続けたのは、理念の存在も大きく関係していたに違いない。
今季初先発したGKの畑 実は言う。
「コンディション云々はさて置き、みんな気持ちは持って戦っていたので、結果が伴わなかったのは残念です。自分のミスでゲームを壊してしまったのも悔しいですけど、まだまだ試合が続くので頑張りたい」
その畑は、震災による被害がもっとも大きかった益城町出身で、「実家は崩壊し、自宅も住める状況にはない」(畑)。避難所生活を余儀なくされただけに、精神的、肉体的苦痛は身に染みている。それゆえ、サッカーを通じて県民に勇気を与えようとの気持ちはひと一倍強かったはずだ。
特別な試合で勝利は逃したが、まだ始まりに過ぎない。そんな畑の気持ちに、同じ熊本出身の巻も同調する。
「正直、勝点1でも熊本の皆さんに届けたかったですし、1ゴールでも多くのゴールを届けたかった想いはあります。無力感や悔しさとかいろんな想いがありますけど、みんながゴールを目指して足を動かした。そういう意味では、胸を張って熊本に帰って、もう一度準備をして次の試合に挑みたいと思います」
熊本でのホームゲーム開催は7月の再開を目処に調整を進めているため、次節の水戸戦(@柏)を含め、しばらくは各地を転々とする。さらに今後は順延分の試合が主に平日に組み込まれる公算が強く、タイトなスケジュールは不可避だろう。
それでも、勝利を待ち望むファン、サポーターのために、勝点3を目指すスタンスは崩してはいけない。復興のシンボルとして、「県民に元気を」「子どもたちに夢を」「熊本に活力を」与えるために、誰ひとりとして足を止めるつもりはない。
取材・文:橋本 啓(サッカーダイジェスト編集部)