久保建英（レアル・ソシエダ）と組むであろうチュニジア戦は、絶好のチャンスと言える。久保とはご存じの通り、U-15代表世代から共闘してきて、お互いの特徴は熟知しているが、右の縦関係は経験が少ない。

　久保は縦にグイグイ行ってクロスを入れる伊東と異なり、中寄りの位置にステイしてゴールを狙っていく仕事を得意としている。

　特に今季のスペイン１部で８試合・５ゴールという驚異的な数字を残している通り、フィニッシャーとしての能力が際立っている。それを菅原がどう背後から活かすのか。そこはチュニジア戦の必見ポイントと言っていい。

　2022年６月に０－３で敗れたチュニジアは、カウンターの鋭さも目を見張るところがある。そこで右SBにも確実な反応と身体を張った守備が求められてくる。

　菅原も速攻対応で忙殺されるかもしれないが、AZで５シーズンを戦うなかで、リーグ戦やUEFAの大会で様々な経験がある分、対処法も分かっているはずだ。
 

　そこは森保監督が毎熊や橋岡より、菅原を重視する１つの大事な要素。昨季はカンファレンスリーグでもラツィオやウェストハムと激しい勝負を演じたが、その経験値を持ってすれば、チュニジア攻撃陣に対する守備は問題ないだろう。

　年代別代表時代はCBや３バックをこなし、「より守備力のある内田篤人」と評されたこともあっただけに、今回も高い能力を示してほしいところだ。

　カナダ戦で毎熊が攻撃面で良い味を出しながらも、守備面で国際経験不足を垣間見せたり、途中出場の橋岡が失点に絡む突破を許すなど、他のライバルたちが自身の地位を確立しきれていないなか、菅原の安定感は大いに光っている。

　本人は東京五輪やカタールW杯落選の悔しさが残っているのか、「代表に来るたび『これが最後の代表の試合になるかもしれない』という覚悟を持っているし、常に危機感を持ってプレーしている」と話しているが、現時点ではほぼレギュラーを獲得したと言ってもいいような立場にいる。

　その地位をより強固にするためにも、チュニジア戦での一挙手一投足が重要になる。かつての内田や酒井宏樹（浦和）を超える存在感を示すべく、攻守両面での安定感と安心感を強く押し出してもらいたい。

取材・文●元川悦子（フリーライター）

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