「誰でもそうですけれど、（海外移籍した）最初の半年くらいは難しいと思う。僕も、（原口）元気とかでも、やっぱりこっちに馴染むのは難しかった。どれだけ僕たちがサポートしてあげられるかが大事だと思います」

　さらに酒井はこうも言う。

「チームが苦しい状況なので、しっかりチームの力になって欲しいですし、まあ、蛍だったら、力になれると思う。キヨくん（清武）もいるんでね。日本人３人で、チームにとって力になれるように、頑張っていきたいです。まあ、（移籍の）発表はまだなので、なにが起きるかは分からないですけどね」
 
　今回の移籍では、救世主としての期待がかかっている。ハノーファーはリーグ17節終了時点で、４勝２分11敗の勝点14。18クラブ中17位に低迷し、２部降格圏という非常に苦しい状況だ。

　ウインターブレイク（冬季中断期間）の補強は急務で、降格危機から抜け出すために、まだ若く将来性の高い山口の獲得に照準を合わせ、強化部門のスタッフを日本に送り込んでいたようだ。

　山口が在籍するC大阪は、J１昇格プレーオフで敗退している。来シーズンもJ２での戦いを余儀なくされるうえに、看板選手でもある生え抜きの主将がチームを離れるのは、大きな損失だ。

　それでもC大阪の玉田稔社長ら幹部は、山口の海外志向が強いことを理解したうえで、本人の意思を尊重する姿勢を示してきた。そのことからも、今回の移籍に大きな障害はなく、スムーズに交渉が進んだようだ。

　年内にも山口の移籍は正式発表になるだろう。C大阪から海外に旅立ったMF香川真司、清武、乾貴士らが欧州でも確かな地位を築くまでに成長した。一方でFW柿谷曜一朗はバーゼルで出番をもらえず、今も、もがき苦しんでいる。

　山口の移籍が成功するか、それとも壁にぶつかるのか。大きな挑戦が、これから始まる。