15分以上に渡って熱く語った男は、最後まで「運」という言葉を一度も使わなかった。
横浜、磐田、柏と異なるチームで国内3大タイトルを獲得してきた男に問いかけた。那須は、ハッキリとした口調で語る。
「サッカーの世界は、89分まで圧倒しても1分で負ければ勝者が称えられる世界。だけど、チームが続いている限り、前に進んでいくことができれば必ず目標に届く。僕らは今、絶対にブレてはいけない。このすごく悔しい負けを力にしなくてはいけない。目標を高いところに置き続けて、見続けなければ。一発勝負の怖さを凌駕するほどに力をつけるしかない」
監督以下、選手、クラブスタッフを含めた誰もが心からタイトルを欲しているのは間違いない。それと同じくらい、浦和サポーターはタイトルを渇望している。そうした強い思いや感情の高まりは、選手たちにも浴びせられる。それはプロサッカーでは当然のことだが、浦和はそうした力が特に大きなクラブだ。それでも、那須は正面から向き合うことを恐れない。
「とにかく、這いつくばってでも前に進む。どうしたって周りは一喜一憂するし、罵声や思いを僕らにぶつけたくもなるはず。それは、いくらでも受け止める。僕らが目標に対して諦めないことを示して、苦労してつかみ取ることが、サポーターに示す意味でも大きな意味を持つ。だからこそ、さらなる向上心でやるしかない」
そして、那須はこうも言う。「人生でもそうですよね。目標に達するのが早い人もいれば、遅い人もいる」と。
那須のサッカー人生には、幾度も悔しい場面があった。鹿児島実高の3年時は、全国高校サッカー選手権の決勝で敗れた。主将として臨んだアテネ五輪では、パラグアイ戦で失点につながる大きなミスを犯した。そのたびに「逆境のときほど、自分が試されている」と、這い上がってきた。今もまた、その内側から燃え上がる闘志がある。
「無難な人生はつまらない。苦労して掴み取ったほうがさらなる喜びもあるから。僕個人としては、人間臭いのが好き。悔しさがあるから、掴んだ時の喜びが大きい。これをバネにしなくては」
だからこそ「もっと練習しろ、成長しろと言われている」と受け止めた。15分以上に渡って熱く語った男は、最後まで「運」という言葉を一度も使わなかった。
今季の浦和には、まだ天皇杯でタイトルを得るチャンスが残っている。ひとつキッカケができてしまえば、そこから黄金時代が訪れそうな雰囲気すらある。「この敗戦は悔しいが、こんなところで終わってたまるかという気持ち」と宣言した闘将は、熱い思いとたゆまぬ努力で今季最後のタイトルを勝ち取る覚悟でいる。
取材・文:轡田哲朗(フリーライター)
「サッカーの世界は、89分まで圧倒しても1分で負ければ勝者が称えられる世界。だけど、チームが続いている限り、前に進んでいくことができれば必ず目標に届く。僕らは今、絶対にブレてはいけない。このすごく悔しい負けを力にしなくてはいけない。目標を高いところに置き続けて、見続けなければ。一発勝負の怖さを凌駕するほどに力をつけるしかない」
監督以下、選手、クラブスタッフを含めた誰もが心からタイトルを欲しているのは間違いない。それと同じくらい、浦和サポーターはタイトルを渇望している。そうした強い思いや感情の高まりは、選手たちにも浴びせられる。それはプロサッカーでは当然のことだが、浦和はそうした力が特に大きなクラブだ。それでも、那須は正面から向き合うことを恐れない。
「とにかく、這いつくばってでも前に進む。どうしたって周りは一喜一憂するし、罵声や思いを僕らにぶつけたくもなるはず。それは、いくらでも受け止める。僕らが目標に対して諦めないことを示して、苦労してつかみ取ることが、サポーターに示す意味でも大きな意味を持つ。だからこそ、さらなる向上心でやるしかない」
そして、那須はこうも言う。「人生でもそうですよね。目標に達するのが早い人もいれば、遅い人もいる」と。
那須のサッカー人生には、幾度も悔しい場面があった。鹿児島実高の3年時は、全国高校サッカー選手権の決勝で敗れた。主将として臨んだアテネ五輪では、パラグアイ戦で失点につながる大きなミスを犯した。そのたびに「逆境のときほど、自分が試されている」と、這い上がってきた。今もまた、その内側から燃え上がる闘志がある。
「無難な人生はつまらない。苦労して掴み取ったほうがさらなる喜びもあるから。僕個人としては、人間臭いのが好き。悔しさがあるから、掴んだ時の喜びが大きい。これをバネにしなくては」
だからこそ「もっと練習しろ、成長しろと言われている」と受け止めた。15分以上に渡って熱く語った男は、最後まで「運」という言葉を一度も使わなかった。
今季の浦和には、まだ天皇杯でタイトルを得るチャンスが残っている。ひとつキッカケができてしまえば、そこから黄金時代が訪れそうな雰囲気すらある。「この敗戦は悔しいが、こんなところで終わってたまるかという気持ち」と宣言した闘将は、熱い思いとたゆまぬ努力で今季最後のタイトルを勝ち取る覚悟でいる。
取材・文:轡田哲朗(フリーライター)