アーセナルは本来のスタイルではない堅守速攻を見事に完遂する。

77分、3分前に投入されたジルーがいきなり大仕事をやってのける。FKからのクロスを後方から飛び込んで頭で押し込んだ。(C)Getty Images

ダメ押し弾となる2点目を94分に沈めたエジル。この日はボールに触れる機会が少なかったが、最後に歓喜をもたらした(C)Getty Images
■ポイント2
「崩し切る」場面が少なかったバイエルン
後半もバイエルンがポゼッションをキープし、攻め込む展開は不変。D・コスタとミュラーが前半のようにそれぞれのサイドだけに張り付けず、中央や逆サイドにも侵入するなど、多少の変化も加えてきた。
しかし、GKチェフを中心とするアーセナルの粘りもあり、なかなかゴールを奪えない。さらに、70分と71分にシャビ・アロンソとビダルを下げ、キンミッヒとラフィーニャを入れた後は、流れ自体もやや淀み、ゴールチャンスも減っていく。
そして、77分だった。アーセナルが待望の先制点を手にする。FKからのクロスをコシエルニ―とミュラーが競り合い、その後ろから飛び込んだ途中出場のジルーが頭で押し込んだ。ブラインドで見えづらかった可能性が高いが、飛び出していながらボールに触れなかったノイアーの判断ミスとも言えた。
さらに94分には、アーセナルがダメ押し弾。相手のパスをカットしたベジェリンが快速を利して一気に敵陣深くまで切れ込み、折り返しをフリーのエジルが押し込んだのだ。
本来のポゼッションサッカーを貫いたバイエルンは、相手のミス絡みからのフィニッシュが多く、いわゆる崩し切る場面がいつもと比べて少なかった。それが敗因の一つとなったのは間違いない。
■ポイント3
堅守速攻に徹したアーセナルの作戦勝ち
90分間を通じたボールポゼッションが68%対32%、パス本数が741対288本というデータが示す通り、いわゆる主導権を握ったのは完全にバイエルンだった。
しかし、勝利したのはアーセナル。2節まで連敗という背水の陣だったうえ、公式戦15連勝中というほぼ無敵の進撃を続けるバイエルンには総合的な戦力値で明らかに見劣りする。
その状況を冷静に見極め、ヴェンゲル監督は本来の最終ラインを積極的に押し上げる攻撃サッカーを棚上げし、自陣後方にDFとMFで2ブロックを作る堅守速攻を採用。守備ではチェフを中心に最後まで集中力を切らさず、さらに攻撃では堅守速攻戦術にとって数少ないチャンスであるセットプレーとショートカウンターでしっかりゴールを奪った。
「我々には勝利が絶対に必要だった。そのために規律を重んじ、狙い通りの結果をえられた。チェフが決定的な存在となったね」
試合後、ヴェンゲル監督がそう胸を張った通り、アーセナルにとってはほぼ狙い通りの勝利と言えた。
文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)
10月20日のCL8試合のFO&結果
「崩し切る」場面が少なかったバイエルン
後半もバイエルンがポゼッションをキープし、攻め込む展開は不変。D・コスタとミュラーが前半のようにそれぞれのサイドだけに張り付けず、中央や逆サイドにも侵入するなど、多少の変化も加えてきた。
しかし、GKチェフを中心とするアーセナルの粘りもあり、なかなかゴールを奪えない。さらに、70分と71分にシャビ・アロンソとビダルを下げ、キンミッヒとラフィーニャを入れた後は、流れ自体もやや淀み、ゴールチャンスも減っていく。
そして、77分だった。アーセナルが待望の先制点を手にする。FKからのクロスをコシエルニ―とミュラーが競り合い、その後ろから飛び込んだ途中出場のジルーが頭で押し込んだ。ブラインドで見えづらかった可能性が高いが、飛び出していながらボールに触れなかったノイアーの判断ミスとも言えた。
さらに94分には、アーセナルがダメ押し弾。相手のパスをカットしたベジェリンが快速を利して一気に敵陣深くまで切れ込み、折り返しをフリーのエジルが押し込んだのだ。
本来のポゼッションサッカーを貫いたバイエルンは、相手のミス絡みからのフィニッシュが多く、いわゆる崩し切る場面がいつもと比べて少なかった。それが敗因の一つとなったのは間違いない。
■ポイント3
堅守速攻に徹したアーセナルの作戦勝ち
90分間を通じたボールポゼッションが68%対32%、パス本数が741対288本というデータが示す通り、いわゆる主導権を握ったのは完全にバイエルンだった。
しかし、勝利したのはアーセナル。2節まで連敗という背水の陣だったうえ、公式戦15連勝中というほぼ無敵の進撃を続けるバイエルンには総合的な戦力値で明らかに見劣りする。
その状況を冷静に見極め、ヴェンゲル監督は本来の最終ラインを積極的に押し上げる攻撃サッカーを棚上げし、自陣後方にDFとMFで2ブロックを作る堅守速攻を採用。守備ではチェフを中心に最後まで集中力を切らさず、さらに攻撃では堅守速攻戦術にとって数少ないチャンスであるセットプレーとショートカウンターでしっかりゴールを奪った。
「我々には勝利が絶対に必要だった。そのために規律を重んじ、狙い通りの結果をえられた。チェフが決定的な存在となったね」
試合後、ヴェンゲル監督がそう胸を張った通り、アーセナルにとってはほぼ狙い通りの勝利と言えた。
文:白鳥大知(サッカーダイジェストWEB)
10月20日のCL8試合のFO&結果