CLでは前節のトットナム戦に続く２試合連続ゴールだが、CLだからとにこだわりすぎたりもしない。「（CLだからというのは）全然ないんですね、ブンデスもはさんでいるんで。今はゴールにもたくさん絡めているんで。特にないっす」といたって平然としている。

　それこそブンデスリーガでは得点王争いで上位に名前を連ねているが、そうしたタイトルへの渇望も見せない。PKで２点決め、チームも５-１で快勝したリーグ10節レバークーゼン戦後に冷静に話していた。

「正直１ミリもそこ(得点王)を狙ってないですね。別に自分ができると思ってない。いい選手がいっぱいいます。僕が取るじゃなくてうちのチームメイトがね、そこに食い込んでいってくれたらいいなと」
 

　もちろん得点はいつでも狙っているが、ゴールだけが全てではない。追い求めているサッカーがある。そういえば2019年10月に行われたヨーロッパリーグのスタンダール・リエージュ戦後に、得点を量産していたシント＝トロイデン時代について次のように振り返っていたのが印象的だった。

「去年は点取れましたけど、点取ってる以外何もしてないと思う。上に戻るために僕自身点が欲しかったから、点にこだわりました」

　あれから４年が過ぎている。今の鎌田は自身の良さを大事にしながら、自身のサッカーを追い求めながら、様々な課題と向き合い、様々な要素を積み上げ、高い総合力をもった選手へと成長を遂げた。そして、その成長はこれからも止まらない。

「いいときもあれば悪いときもあるし、１年コンディションを維持してやり続けるっていうことが大事だと思う。ぱっと輝く選手もいますけど一流の選手はこれを長くやる選手がいっぱいいるので、自分もそれが普通にできるようにやっていきたいと思います」

　前述のレバークーゼン戦後には、そう真剣な顔で話していた。もはや鎌田なしのフランクフルトは考えられない。コンスタントな活躍で、クラブを悲願のCL決勝トーナメント進出へと導いてほしい。フランクフルトファンはそんな鎌田に最大級の願いを込めて、熱い応援を送り続けるだろう。

取材・文●中野吉之伴

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