後半に投入された選手たちは良い働きを見せた。上田が前線で身体を張ったおかげで、セカンドボールを拾えるようになったし、左サイドでは相馬が前へ果敢に仕掛けるなど、機能していた。さらに、トップ下に入った鎌田がパスを積極的に受けて前を向き、チームに推進力を生んだ。

　終盤にGKのシュミットがPKを止めたその３分後にも、森保監督は長友に代えて吉田、堂安に代えて伊東をピッチに送り出した。これは「勝ちに行くぞ」という指揮官の姿勢が見えた采配だったね。

　スピードのある伊東の投入は、終盤で疲れの見えた相手DFに対して効果的だし、セットプレーに強い吉田を入れて、得点を奪いに行った。勝ちに行く姿勢が存分に伝わる素晴らしい采配だったと思う。個人的に今回のゲームは、森保監督を評価したい。
 

　ビルドアップのほかに日本の課題は、コーナーキックやフリーキックなどのセットプレー。これはずっと日本が抱えている問題だよね。強豪ひしめくワールドカップでは、セットプレーの強さが試合を決める重要な要素だと言っても過言ではない。

　キッカーのキックの質も高める必要があるし、ゴール前に飛び込んでいくオプションやサインプレーを２つ３つは作っておかないとね。セットプレーは武器として強化すべきだと思う。このチームの選手たちは、歴代の代表チームに比べて比較的背が高いんだからさ。

　エクアドル戦は苦しい試合になったけど、修正すべき課題が見つかって良かったんじゃないかな。これから連係、共通理解を本大会初戦のドイツ戦に向けてどれだけ上げられるか。残り２か月と言っても、準備の時間がまったくないわけではないから、大会前の合宿地でのトレーニングや、最後の国際親善試合のカナダ戦で、できる限りチームの完成度を高めてほしいね。

【著者プロフィール】
金田喜稔（かねだ・のぶとし）／1958年２月16日生まれ、64歳。広島県出身。現役時代はドリブルの名手として知られ、中央大在学中の1977年6月の韓国戦で日本代表デビューを飾り、代表初ゴールも記録。『19歳119日』で記録したこのゴールは、現在もなお破られていない歴代最年少得点である。その後は日産自動車（現・横浜）でプレーし、1991年に現役を引退。Jリーグ開幕以降はサッカーコメンテーター、解説者として活躍している。

【PHOTO】ブラジル、フランス、イングランドも刷新！ カタールＷ杯・出場国の「本大会用ユニホーム」を一挙公開！

【PHOTO】デュッセルドルフ・アレーナに駆け付けた日本代表サポーターを特集！

【キリンチャレンジカップPHOTO】日本０ー０エクアドル｜シュミットが渾身のPKストップ！メンバー発表前最後の試合はスコアレスドロー