これだけではない。CBホワイトは太ももを痛め、５月１日のウェストハム戦から３試合を欠場した。CBガブリエウ・マガリャンイスも５月12日のトッテナム戦で自ら交代を申し出たように、連戦による疲労の影響でコンディションは万全ではない。屋台骨を支える４バックのレギュラー陣がいずれも故障を抱え、守備的MFのパーティも離脱となれば、チームパフォーマンスへの影響は避けられない。

　さらに足を引っ張ったのが、アーセナルの薄い選手層だ。右SBセドリック・ソアレスとCBロブ・ホールディング、左SBヌノ・タバレスと最低限の人数は揃っているが、そのパフォーマンスはレギュラー陣に比べると大幅に落ちる。

　実際、ホールディングはトッテナム戦でソン・フンミンへ激しくマークにつき、33分の極めて早い時間帯で退場。26歳のイングランド人DFは強豪相手のビッグマッチでのパフォーマンスが課題とされているが、トッテナムとの直接対決で０－３の完敗を喫した主因となった。

　タバレスとセドリックについても、１対１の守備対応に不安を抱えている。通常、上位クラブにはレギュラー陣に劣らないバックアッパーが揃っているが、アーセナルの場合はレギュラー組と控え組の実力差があまりに大きい。
 

　英紙『ニュース・アイ』は４月上旬の時点で「アーセナルは冬の移籍期間に選手を補強しなかった。４位進出を逃せば、人員不足が失敗の原因になる」と指摘し、怪我人が増えている状況に警鐘を鳴らしていた。

　好調時のパフォーマンスには眩しいほどの輝きがあり、観ている者をワクワクさせた。しかし、選手層やスカッドメンバーを含めた総合力を考えると、アーセナルのCL出場はまだ早かったのかもしれない。

取材・文●田嶋コウスケ

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