【鹿島】石井監督の初手は“スライディング解禁”。意識改革で守備をテコ入れする

カテゴリ:Jリーグ

五十嵐創(サッカーダイジェスト)

2015年07月26日

粘り強く勝利に結びつけたのは、前進と捉えて良い。

石井新監督による“緩さ”の撤廃が、FC東京戦での好パフォーマンスを生んだ。これを継続できれば、チームは上昇気流に乗れるだろう。写真:徳原隆元

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 では、なぜ鹿島はこうも変われたのか。その理由は、トレーニング内容の変更が大きく関係している。例えば、紅白戦での“スライディング解禁”だ。
 
 トニーニョ・セレーゾ前監督はここ最近、怪我防止のために紅白戦でスライディングを禁止し、接触プレーに対しても過敏に笛を吹いてプレーを止めていたという。こうした“緩さ”を撤廃することでトレーニングに激しさが生まれ、ひいては試合での好パフォーマンスにつながった。実際に、CBの昌子は好感触を得ているようで、「これまでなら行けていない部分で1、2歩が出ていた」と語っている。
 
 もちろん、好影響が出たのは、最終ラインだけではない。
 
 スタメンに抜擢された中村が「チームのためになにをすべきかを整理して入りました」と語るように、特に前半はサイドハーフの出足が鋭く、FC東京のSBにビルドアップする余裕を与えなかった。また、2ボランチは短調な縦パスを次々とインターセプトし、ロングボールに対してもバイタルエリアを埋めてセカンドボールを拾っている。
 
 運動量の落ちた後半は押し込まれたものの、石井監督が投じた一手でチームの意識は間違いなく変わった。一時は同点に追いつかれながらも球際で粘り強く対応し、勝利に結びつけたのも前進と受け止めて良いだろう。
 
 もっとも、本当に重要なのは、この戦い方を継続できるかだ。FC東京戦では危機感が良い方向に出たが、「この1勝だけでは意味がない」(土居)。
 
 そうした意味で言えば、次節の鳥栖戦は試金石になる。
 
「鳥栖は球際のチーム。向こうの長所をこっちが上回ったら優位に立てる」
 
 昌子がそう言うように、鳥栖は球際での激しさを試す絶好の相手。FC東京戦で掴んだキッカケを真の力に変えるためにも、絶対に落とせないゲームと言えるだろう。
 
取材・文●五十嵐創(サッカーダイジェスト編集部)
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