【女子W杯】絶対的なキャプテン・宮間あや 「終わり方」へのこだわり

カテゴリ:日本代表

松原 渓

2015年07月03日

宮間にワールドカップを。チームメイトの想いはひとつ。

PKでの得点後は即座にベンチメンバーのもとへ。皆と喜びを分かち合った。(C) Getty Images

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  日本の司令塔であり、セットプレーのキッカーでもある宮間は、今大会の注目選手としてFIFAのサイトでも大きく取り上げられている。だからこそ、特に決勝トーナメント以降はどの国も宮間への対策を徹底しており、マークは厳しさを増した。

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 そのなか、宮間はあえてキラーパスを封印してシンプルなプレーで味方を活かし、チームの潤滑油に徹しているように見える。
 
 しかしセットプレーでは、相手もその脅威を止めることはできない。この試合で、宮間は今大会ふたつ目のPKを決めた。31分、阪口夢穂のパスに抜け出した有吉佐織がPKを得る。キッカーとして、助走に入った宮間の動きはまるでスローモーションを見ているかのようだった。
 
「ゆっくり相手の動きを見て蹴りました。イングランドの選手が、キーパーに『動くな動くな』って言ってましたけど、やっぱり相手の方が(動くのは)早かった」
 
 イングランドサポーターのブーイングも聞こえたという。しかし動じることなく、相手キーパーとの駆け引きを楽しみ、見事に逆のコースに決めてみせた。
 
 ゴールが決まった瞬間、宮間は一目散にベンチに向かって走った。声を枯らしてチームを盛り上げる控えの選手たちと喜びを分かち合うためだ。なでしこジャパンは、控えも含めた23人で戦っている。
 
 宮間は若い選手や試合に出ていない選手にも目をかけ、声をかける。その姿勢はキャプテンになる前も後も変わらない。その卓越したリーダーシップは、同じく日本の象徴的な存在である澤とは違う種類のカリスマ性を放っている。澤が代表通算200試合を迎えた今大会初戦のスイス戦で、宮間は同じく150試合出場を飾った。
 
  決勝戦の相手は、前回大会、12年のロンドン五輪のファイナルに続くアメリカだ。前回大会決勝ではPK戦の末に勝利し、ロンドン五輪決勝では1-2で敗れた。
 
 「一番大事なのは終わり方だと思います。負けて終わるのと勝って終わるのとでは本当に天と地の差なので、まだなにひとつ満足していないですし、決勝がすべてだというぐらいの想いで臨みます」
 
 頂点を決める舞台で、勝者と敗者の両方の立場を経験したからこそ、その終わり方には絶対的なこだわりを見せる。
 
 大野忍は、準決勝の前に、宮間についてこう話していた。
 
「本当に素晴らしいキャプテンだと思いますし、しっかり彼女にみんながついて行って、彼女が一生懸命やった結果が今のチームの状況でもあります。だから、彼女にワールドカップを掲げてもらうことが私たちができる恩返しです」
 
 その手に、黄金に輝くワールドカップが掲げられる瞬間を見たい。決勝戦は、日本時間の7月6日、午前8時にキックオフを迎える。
 
取材・文:松原 渓(スポーツライター)
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