【タジキスタン戦|戦評】メンバー入れ替えの背景。チームの底上げはできたのか?

カテゴリ:日本代表

本田健介(サッカーダイジェスト)

2021年06月08日

得点シーンには個々の特長が表われた

4-1でタジキスタンに勝利した日本。しかし課題も残った。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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[カタール・ワールドカップ・アジア2次予選]日本 4-1 タジキスタン/6月7日/パナソニック スタジアム 吹田

 先発8人を入れ替え。

 6戦全勝で、すでに突破を決めていたカタール・ワールドカップ・アジア2次予選で、7戦目のタジキスタン戦を迎えた森保ジャパンは、従来とは異なるメンバーで臨んだ。狙いは選手層のアップである。

 6月3日のU-24代表戦から引き続き先発に名を連ねたのは南野拓実、原口元気、橋本拳人。GKは権田修一、最終ラインは右から山根視来、中谷進之介、昌子源、佐々木翔、ボランチは橋本、川辺駿、2列目は右から古橋亨梧、南野、原口(キャプテンマーク)、CFには浅野拓磨。本来のレギュラーメンバーと言えるのは南野と権田のふたりだけだろう。

「理想は誰が出ても連係できること。ただ、練習は限られていましたし、パーフェクトは難しいと、ミスが増えるのはやむを得ないと思っていましたが、選手は継続力を持ってやってくれました」

 その言葉通り、森保一監督としても想定内ではあったのだろう。メンバーがいつもと異なるチームは、前半からミスも重なりパス回しのリズムが上がらず、攻撃を加速させるクサビのボールもなかなか入らない。

 この日はトップ下に入った南野(最近は南野が左、トップ下・鎌田大地の形が効果的だった)が、上手く相手の中間ポジションに立っても、なかなかパスが出てこない。守備に関しても特に前半は後手を踏む場面があり、今2次予選で7試合目にして初の失点も喫している。

 これでは怪我で不在の大迫勇也、オーバーエイジ候補としてU-24代表へ回っている吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航らの存在の大きさが、改めて浮き彫りになったと言われても仕方がないだろう。

 もっともゴールシーンでは、各々の特長がよく表われた。6分に奪った先制点は、右SBの山根が起点。まさに先日のJ1の鹿島戦でレアンドロ・ダミアンのゴールをアシストしたようなサイドライン際からの斜めへ入れるロングスルーパスで、快足を生かした浅野が抜け出してシュート。GKに弾かれるも、セカンドボールへの反応が速い古橋がしっかり詰めた。

 このシーンのようにタジキスタン戦では、浅野のスピードを有効活用しようと、シンプルなロングボールの割り合いを増やしていた。これはチームとして共有できていたのだろう。

 1-1の同点に追い付かれた後の2点目も起点は山根。またもサイドライン際で縦パスを出すと、反応した古橋がニアサイドへ絶妙なクロス。これを南野がGKのニアを抜く見事なシュートで追加点を奪った。

 3点目はまたも山根から。攻め上がったこの右SBがエリア中央へグラウンダーのパスを送ると、後方から走り込んでいたロシアで得点力を高めている橋本が、技ありのシュートでネットを揺らした。

 4点目の川辺のゴールは相手のミス絡みだったが、後半頭から登場した鎌田らの連動したプレスで相手にプレッシャーを与えたものだった。
 確かに総合力では従来のメンバーのほうが上である。コンビネーション面でも、当たり前だが、彼らのほうに一日の長がある。タジキスタン戦のメンバーは、森保ジャパンの真骨頂であるミドルゾーンを中心とした激しいプレス、攻守の切り替えの速さ、強度の高さはまだまだ学ばなくてはいけない面がある。

 それでも森保監督は今年9月から行なわれる予定の最終予選を見越し、チーム力を高めるため、コロナ禍で活動の制限があるなかで、先発メンバーを固定する傾向にあった背景もある。もっとも今回のタジキスタン戦、15日の2次予選・8戦目のキルギス戦は勝利を目指すのは大前提ながら“消化試合”であり、11日のセルビアとの強化試合を含めて、出場機会が限られてきた選手たちのアピールチャンスになるはずだ。

 そのなかで、個々の特長をチームにどう取り込むかが、森保監督の腕の見せどころであり、各選手たちは具体的にどんなことをできるのか、ピッチの上で表現する必要がある。

 今日の得点シーンのように個々の“顔”がよく見えれば、その武器をチーム力に還元していく。吉田や大迫らの代役をすぐに見つけるのは難しいが、底上げをする必要はある。ただ、いきなりすべてを上手くやれと言うのは酷。この1試合だけでなく、続く2試合を含めてチームとして、個々として成長を見たい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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