パルマ大金星!! ホームでの通算成績でもユベントスに勝ち越し

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2015年04月12日

ユベントスが強者の時代の記憶とプライドを取り戻させるのか?

昨年11月の対戦では敵地で0-7の大敗、今年1月のコッパ・イタリア準々決勝では0-1の敗北を喫していたが、より悪化したクラブ事情、そしてユベントスの充実ぶりと“余裕”が、本拠地でパルマの意地を引き出したのだろうか。 (C) Getty Images

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かつてはスーパースターによるタイトル争いの舞台だったスタディオ・エンニオ・タルディーニ。写真はジャンフランコ・ゾーラ(左)とアレッサンドロ・デル・ピエロ。 (C) Getty Images

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 セリエA第30節、大番狂わせが演じられた。破産を宣言し、イタリア・サッカー連盟の財政援助によって“延命”を施されている状態のパルマが、首位を快走するユベントスを1-0で破ったのである。
 
 ユベントスがチャンピオンズ・リーグ準々決勝を来週に控え、メンバーを落として臨んだということはあったものの、この最大級のジャイアントキリングに、パルマのホームスタジアム、エンニオ・タルディーニは沸きに沸いた。
 
 試合後、監督のロベルト・ドナドーニが「大きな満足感を得られた試合だ。我々は最下位のままでは終わらない」と誇らしげに語っていたのが印象的だった。
 
 とはいえ、パルマの苦難は今後も続く。すでに多くの選手が離脱し、ジョナタン・ビアビアニーの契約解除も決定した。ドナドーニ監督自身がスポンサーとなって救済にあたっているものの、根本的な解決には至っていない。
 
 2億ユーロを超える負債を肩代わりするスポンサーが現われなければ、来シーズンはアマチュアリーグ(セリエD)からの再出発を余儀なくされるといわれているパルマ。しかしこのご時世、中東やアジアの大金持ちといえども、イタリアの田舎町のクラブ(たとえ輝かしい実績を持っているとしても)に興味を持つ可能性はいかほどだろうか……。
 
 今後、パルマとイタリアのメジャークラブとの対戦は、しばらく見られなくなるかもしれない。ユベントス、ミラン、インテル、ローマといったビッグクラブとともに「ビッグ7」と呼ばれ、スクデット争いを展開した時代が懐かしい。
 
 もちろん今回、大金星を挙げた相手であるユベントスとの対峙も、しばらくはおあずけとなるだろう。セリエDのチームもコッパ・イタリアには出場できるが、セリエAの上位チームが参戦する5回戦までの道のりは、非常に長く、そして険しい。
 
 つまり、ユベントスとの通算対戦成績13勝16分け27敗という数字が、この先しばらく動くことはないということだ。ということは、ホームでの対戦成績10勝10分け9敗という数字も動かない。そう、パルマは本拠地で強豪ユベントスに勝ち越したまま、表舞台から姿を消すことになるのだ。
 
 この成績を意外に思う者、さほど驚きを感じない者の両方がいるだろう。近年の両チームの実力差を考えれば意外な成績だろうし、「ビッグ7」時代を知る者なら当時の“貯金”があるのだからこの成績も当然だと考えるかもしれない。
 
 1990-91シーズンにセリエA初昇格を果たし、そこから急速に力をつけていったパルマ。スポンサー「パルマラット」の財力によって国内外のスターを多く獲得したことで、一躍タイトル争いに絡む新興勢力として注目を集めるようになった。
 
 となれば、その行く手に盟主ユベントスが立ちはだかるのは当然のこと。タイトルを決する場で、この絶対的な王者とパルマが対峙することは多くなった。そして勢いに満ちたこの田舎町のクラブは、地元観衆の前で歴史的な勝利を何度も飾ってきた。
 
 下記の通り、UEFAカップ、コッパ・イタリアの決勝で計3度、ホームで勝利を挙げ、その全てで優勝を果たしたパルマだが、なかでも最も誇らしいのは、クラブとして初のメジャータイトルを獲得した、91-92シーズンのコッパ・イタリアだろう。
 
 まだ派手な補強を施す前だったが(外国人選手はクラウディオ・タファレル、ジョルジュ・グルン、トーマス・ブロリンの3人)、名将ネビオ・スカラに率いられた11人の好集団は組織の力で、ロベルト・バッジョ、サルバトーレ・スキラッチといったスターを擁するユベントスに対抗。第1戦の敗北を挽回してみせた。
 
 スーパープレーを連発したGKマルコ・バロッタから、殊勲のゴールを挙げたアレッサンドロ・メッリ、マルコ・オージオのFW陣まで、全ての選手が一丸となって歴史的な勝利を挙げたパルマ。間もなくこのチームから多くのアズーリ・プレーヤーが輩出され、チームは短期間で輝かしいサクセスストーリーを紡ぎ出していくのだった。
 
 しかし、2003年に「パルマラット」が破産したことでパルマはタイトル争いから陥落し、ユベントスとともに大舞台に立つこともなくなった。そしてその後、クラブの財政事情は悪化していくばかりで、ついに今シーズンの「呪われた1年」(ドナドーニ監督)を迎えた。
 
 ただ、それでもホームでユベントスを迎えた一戦に関しては、直近の10試合で2勝5分け3敗と、チーム力の差の割には善戦している。ユベントスの存在が、「ビッグ7」時代を思い起こさせ、かつてのプライドを取り戻させるからなのか……。
 
 果たして、90年代の「名物カード」がこの先、大舞台で復活することはあるだろうか。
 
◎パルマのホームにおけるユベントス戦全勝利
セリエA
・2015 年4月11日・第30節・1-0
得点者:ジョゼ・マウリ
・2011年5月15日・第37節・1-0
得点者:セバスティアン・ジョビンコ
・2002年3月23日・第28節・1-0
得点者:サブリ・ラムシ
・1998年9月26日・第3節・1-0
得点者・ディノ・バッジョ
・1997年1月5日・第15節・1-0
得点者:エンリコ・キエーザ
・1993年11月7日・第11節・2-0
得点者:ジャンフランコ・ゾーラ、トーマス・ブロリン
・1993年5月16日・第31節・2-1
得点者:マルコ・オージオ(2点)
 
UEFAカップ
・1995年5月3日・決勝第1戦・1-0
得点者:D・バッジョ
※優勝。第2戦は1-1
 
コッパ・イタリア
・2002年5月10日・決勝第2戦・1-0
得点者:ジュニオール
※優勝。第1戦は1-2
・1992年5月14日・決勝第2戦・2-0
得点者:アレッサンドロ・メッリ、オージオ
※優勝。第1戦は0-1
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