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「兄ちゃんを越えたい」――全国大会で辛酸を舐めた帝京大可児の10番大森涼が決めた“雪辱の2ゴール”【選手権】

カテゴリ:高校・ユース・その他

サッカーダイジェストWeb編集部

2020年12月31日

出色のパフォーマンスで違いを生み出す

立ち上がりから攻撃力を見せつけた帝京大可児を牽引したのが、大森(10番)だった。 写真:榎本誉士

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[高校選手権1回戦]帝京大可児3-1初芝橋本/12月31日(木)/駒沢

 1年前に全国の檜舞台で辛酸をなめた点取り屋が魅せた。

 この日、立ち上がりから攻勢に出た帝京大可児。その勢いを加速させたのは、1トップに配置された10番の大森涼(3年生)だった。

 11分、ショートカウンターから味方MF鈴木淳之介(2年生)のパスに反応。果敢な突破であっという間に敵エリア内まで持ち込むと、最後は「見えていた」と、食い止めにきた相手DFを冷静にかわして右足でゴールを射抜いた。

 先制点をもたらして「緊張があった(仲井正剛監督)」というチームに落ち着きをもたらした3年生ストライカーは、チームが1点を追加して迎えた31分にも見せ場を迎える。細かいパスワークで相手の左サイドを崩した三品直哉(2年生)のラストパスを右足で豪快にゴールへとねじ込んだのである。

 チームが押し込まれた後半もカウンターから決定機を作り、出色のパフォーマンスを披露した大森。同校史上最高成績であるベスト16越えを目指す今回に懸ける想いは人一倍だ。2年生だった昨年度の選手権、大手前高松との1回戦でスタメンに抜擢されながらも、本領を発揮できず。チームも1-0で敗れて悔しさを味わったのだ。
 雪辱を果たしたい今大会で、ストライカーとして上々のスタートを切った大森は、自信を覗かせた。

「去年は本当に何もできなかったけど、今年は自分としても成長していると感じる。カットインだけだったドリブルが縦にも行けるようになっているし、それがこういう試合でも通じるようになった」

 目に見える結果を残し、仲井監督からも「全国大会で良さを発揮できなかった悔しさをこの1年ぶつけてきた。とくに今日は彼の良さが出ていた」と褒め称えられた大森には、“個人的な目標”もある。それは3つ年上で、3年前の全国大会で帝京大可児の一員として出場していた兄・颯樹さんの得点記録を破ることだ。

「兄ちゃんは選手権で2点取っているから、それを塗り替えたいですね。兄ちゃんを越えたくて、帝京大可児に入ったのもあるので。チームとしてはベスト16を超えて、全国制覇が目標です。だけど、僕個人として大会得点王になって、高校選抜に選ばれたいと思っています」

 緊張感のあった中でも、堂々たるパフォーマンスで違いを生み出した大森。“兄ちゃん越え”まで1点と迫るエースからは目が離せない。

取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)
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