３月13日、川崎のホームスタジアムである等々力陸上競技場の『新メインスタンド完成記念式典』が行なわれた。式典の前には報道関係者向けの内覧会も実施され、普段は見られない川崎側のロッカールームやシャワールームをはじめ、スタンド、記者室、各種席など主要な諸室を公開。市の職員が報道陣の質問に受け答えしながら、一つひとつ見て回る形となった。

【PHOTOギャラリー】等々力新メインスタンド内覧会の模様 part.1

【PHOTOギャラリー】等々力新メインスタンド内覧会の模様 part.２
 
　完成記念式典には100人近くの来賓が出席し、テープカットや来賓の祝辞に加え、「川崎市、藤子・F・不二雄ミュージアム」キャラクターブロンズ像の除幕式も行なわれた。また、『一般向け内覧会』が３月15日（13時から17時）に予定されており、参加は無料となっている。
 
　メインスタンドの改修話が本格的に動き出したのは08年だ。同年に「等々力陸上競技場の全面改修を推進する会」が発足し、約22万人の署名を集めて12年11月から着工。以降、段階的に建設が進められ、３月13日のお披露目に至った。
 
　来年の事業評価後にはバックスタンドの改修も予定されており、第二期整備を終えた数年後には約３万5000人収容のスタジアムとなる見込み。なお、新メインスタンド完成による主な変更点は以下のとおりだ。
 
■新メインスタンド完成による等々力の主な変更点
・収容人数が２万693人から２万6,232人に増加。
・前傾のスタンド構造を採用。ピッチまで約51メートル。
・スタンドのせり出しと高い耐久性を両立。
・等々力ならではの『バラエティシート』。
（子どもを遊ばせながら観戦できる「ファミリーシート」、団体などで使用できる「グループシート」、アウトドア感覚で観戦可能な「パーティーシート」、ふたり一組で座れる「ペアシート」、足を伸ばして観戦できる「堀りごたつシート」、テーブルが付いた「テーブルシート」、ピッチレベルで観戦できる「ピッチサイドシート」など）
・陸上トラックを考慮し、スタッド・ドゥ・フランスを参考にした可動スタンドを採用（４月に完成予定）。
・環境に配慮した先端技術を採用（太陽光発電、雨水利用、地中熱利用冷暖房）。
・公園とスタンドを一望できる「スカイテラス」（６階）を設置。
・大型スクリーンを南スタンド側にも新設。
・スタジアム用のLED照明を使用。
・メインスタンド最前列まで屋根でカバー。
・メインスタンド全体の色は青、黒、白の「フロンターレカラー」が基調。
・男女トイレともに、混雑を想定して一方通行。トイレまでの順路を分かりやすくするため、緑色の壁を辿っていければいいように工夫。
・川崎市の『藤子・F・不二雄ミュージアム』のキャラクターブロンズ像を敷地内に設置（ドラえもんやドラミ、パーマンなど）。
・「川崎フロンターレ」と「エ プロント」のコラボによるカフェ&バー『エ プロンターレ』を出店（共有席もあり）。
・記者席の増設（計190席）。
 
　中村憲剛は「５階から眺めた景色がカンプノウ（バルセロナの本拠地）だった」と興奮気味に語っており、川崎市長の福田紀彦氏も「明日（14日の神戸戦）が初日。その前日に間に合った」と誇らしげな表情を見せた。
　
　３月14日の神戸とのホーム開幕戦に向けて、スタジアム内では看板の設置やマイクテスト、エレベーターの最終点検などが急ピッチで進行中。新メインスタンドが完成した等々力陸上競技場は、「さらにサポーターを魅了するスタジアム」へと変貌を遂げ、世間の耳目を集めそうだ。
 
取材・文：大木 勇（サッカーダイジェスト編集部）