C大阪の守備はなぜ堅いのか? 鉄壁の秘訣を対戦相手の視点で分析

カテゴリ:Jリーグ

志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

2020年08月16日

4-4-2のラインを崩さないように、徹底的に守備バランスを意識

オルンガに競り負けたのは数回程度。マテイ・ヨニッチがC大阪の堅守構築に貢献していた。写真:田中研治

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「ゲームの入りから良いテンポでできて、選手たちのクオリティや個々の特徴は活きていた。ゲーム全体のボリュームを見ても、非常に良い入りができた。本当にひと言で言うなら、あとは(ゴールに)ボールが入るだけだったというようなゲーム内容だったんじゃないかなと」

 ネルシーニョ監督がそう言うとおり、C大阪戦は1-3という結果とは裏腹に、柏にとっては手応えのあるゲーム内容だった。ヒシャルジソンも指揮官に同調する。

「この結果は自分たちのパフォーマンスを反映していないと思っています。もちろん勝負の世界では勝つことも負けることも引き分けることもあるので、仕方ないと思うが、相手よりも多くのチャンスを作って、ポゼッションでも上回って結果を見ると苦い思いをしている」

 どんなに内容が良くても勝負事なので、「結果は真摯に受け止めないといけない」(ネルシーニョ監督)が、選手や監督が負けてもポジティブなコメントをするのも頷ける。実際、柏はポゼッション率が61.4%(C大阪は38.6%)、シュート本数が23本(C大阪は5本)と、圧倒的に攻め続けていた。

 それでも1-3という結果になった原因は、C大阪の守備が堅かったからだろう。ちなみに、柏の1得点は相手GKのキックミスで絶好のボールがオルンガに渡り、そのまま無人のゴールに蹴り込んだ1点なので、この試合でアウェーチームの堅守を崩したとは見ていない。

 そのうえで、筆者は柏担当なので継続的にC大阪の動向を追っているわけではないが、対戦相手の視点から、今節のゲームで見えたC大阪の鉄壁の秘訣を分析する。
 
 ゲームの様相は柏が「押し込んでいる分、相手は固めていた」(高橋祐治)。この“固め方”をC大阪は徹底していたのだ。

 まず、ひとつ目のポイントは藤田直之とレアンドロ・デサバトのダブルボランチ。どんなに柏に揺さぶられても、彼らは1トップのオルンガやトップ下の江坂任へのパスコースを消していた。ゆえにほとんどの時間帯で、相手の攻撃をサイドへと逃がし続けている。

 そうなると、クロスをよく放り込まれるようになるが(実際に柏のクロス数は34本)、ゴール前ではマテイ・ヨニッチと瀬古歩夢がとにかくエアバトルに強い。193㌢のオルンガにほぼ競り勝っていた。

 ただ、上記ふたつのポイントでどちらも“ほぼ”と記したとおり、さすがに攻め続けられれば、1対1で負けたところから何度か綻びが出た。最大のピンチは31分で、ゴール前の空中戦でM・ヨニッチがオルンガに競り負け、落としを受けた仲間隼斗に危うくゴールを許しそうになったものの、最後はキム・ジンヒョンがスーパーセーブで防ぐ。

 ダブルボランチとCBコンビ、及びGKの能力の高さが、C大阪の堅守に大きく貢献しているのだ。もっとも、鉄壁の秘訣は5人のスキルだけではなく、奥埜博亮の前線からのプレスも欠かせないし、4-4-2のラインを崩さないように、徹底的に守備バランスを意識するその他の選手の献身性も見逃せない。そして、スペースを消す統制された守備ブロックを叩き込んだロティーナ監督の指導力も恐れ入る。

 徹底的に守備バランスを意識する難点として、いざ攻撃に出る時も4-4-2のラインのままなので、ポジションチェンジなどが少なく“組織的なアタック”という面での怖さはなかった。それでも、それを補うブルーノ・メンデスの決定力、清武弘嗣のセットプレー、柿谷曜一朗や西川潤という強力な切り札と、個の力があるのだから恐ろしいチームだ。

 現在2位のC大阪は次節(8月19日)、アウェーの川崎戦に挑む。9連勝中と圧倒的な強さを誇示している首位チームに、どこまで対抗できるか楽しみだ。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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