レジェンドの軌跡 THE LEGEND STORY――第56回・マケレレ(元フランス代表)

カテゴリ:メガクラブ

サッカーダイジェストWeb編集部

2020年01月04日

全てのボールホルダーを震え上がらせた「黒豹」

華麗な技を披露するスター選手たちの後ろで、たったひとり「防波堤」となって相手の反撃を封じてきたマケレレ。ジャン・ティガナ、ルイス・フェルナンデス、ディディエ・デシャン、エンゴロ・カンテら新旧のレジェンドとともに、フランスの「中盤の汗っかき」の系譜を形成した偉大なフットボーラーだ。 (C) Getty Images

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 本誌ワールドサッカーダイジェストと大人気サッカーアプリゲーム・ポケサカとのコラボで毎月お送りしている「レジェンドの言魂」では、サッカー史を彩った偉大なるスーパースターが、自身の栄光に満ちたキャリアを回想しながら、現在のサッカー界にも貴重なアドバイスと激励を送っている。

 さて今回、サッカーダイジェストWebに登場するのは、驚異的な運動量でピッチを広くカバーし、どんな相手からも容易にボールを奪い取る他、攻撃の起点としても効果的なプレーを見せた中盤の覇者、クロード・マケレレだ。

 並み居るスーパースターたちを差し置いて、「最も価値のある選手」といわれたフランスの偉人の軌跡を、ここで振り返ってみよう。

――◇――◇――

 クロード・マケレレ・シンダは1973年2月18日、ザイール(現コンゴ民主共和国)の首都キンシャサで産声を上げた。彼の父アンドレ=ジョセフは同国の代表に選ばれ、欧州でもプレーした優秀なサッカー選手であり、クロードはその遺伝子を受け継いでいた。

 4歳の時、一家は政情不安の祖国を離れ、フランス・パリの郊外サビニー=ル=タンプルに移り住む。幼少からサッカーに興じてきたクロードが隣町のクラブ、ムランに入団したのは15歳。ここでは、後にフランス代表で共闘することになるリリアン・テュラムと出会っている。

 翌年、ブレストの下部組織に加入。慣れない独り暮らしの困難を乗り越え、トレーニングに集中することで、MFとしてのプレースタイルの基礎を築いていく。そして91年にナントから誘いを受け、92-93シーズンにはトップチームに昇格して、92年8月8日のメッツ戦でリーグ・アンでのデビューを飾った。

 1年目にしてリーグ戦34試合に出場したマケレレは、早々に中盤で定位置を確保し、翌シーズンには欧州の舞台(UEFAカップ=現ヨーロッパリーグ)も経験。そして94-95シーズンにはリーグ制覇に貢献し、これで出場権を得た翌シーズンのチャンピオンズ・リーグ(CL)では4強入りも果たした。

 キャリアハイの5ゴールを挙げた96-97シーズンが終了した後、国内一の名門クラブであるマルセイユに引き抜かれる。ステップアップではあったが、この港町での1年は、監督との確執などもあって、マケレレにとってはあまり良いものとはならなかった。

 98年夏、彼はピレネー山脈を越え、スペイン・ガリシア地方のクラブ、セルタに新天地を求めた。ここでの2シーズン、リーガ・エスパニョーラでは5位、7位と上位につけ、UEFAカップでは2年連続で8強入りを果たして、セルタにクラブ史上最も充実した時をもたらす。

 ビクトル・フェルナンデス監督が率いる攻撃的なチームで、アレクサンドル・モストボイ、ヴァレリー・カルピンといった攻撃のタレントが輝きを放つ中で、マケレレは中盤の柱となり、数字には表われない部分で大きな役割を果たしていった。

 身長170センチという標準以下の体躯ながら、無尽蔵なスタミナを活かして中盤を広くカバーし、読みとタイミングの良さで相手から簡単にボールを奪取。続いて、安易な横パスに逃げることなく、効果的な縦パスで攻撃を演出する――。

 後に「マケレレ・ロール」と呼ばれることになるこのプレースタイルで、全ての試合においてほぼノーミスで仕事をこなす男は、2000年夏、レアル・マドリーに請われ、セルタに加入した時の2倍以上の移籍金で超名門クラブの一員となった。

 入れ替わりでミランに移籍した優雅なボランチ、フェルナンド・レドンドの穴を埋める存在として、中盤の底に置かれたマケレレ。当初は出来が悪く、メディアからも酷評されたが、間もなくして持ち味を出すようになると、4バックの前の広大なスペースは「黒豹」の異名を持つマケレレの“猟場”となり、“獲物”である相手ボールホルダーを震え上がらせる。

 フロレンティーノ・ペレス会長が提唱したマドリーの「銀河系軍団」化により、攻撃ポジションにルイス・フィーゴ、ジネディーヌ・ジダン、ロナウドといったスーパースターが次々に立ち、彼らにスポットライトが当てられたが、同時に彼らの背後で精力的に動くマケレレの存在も脚光を浴び、またその価値を上げていった。

 00-01、02-03シーズンのリーガ制覇、01-02シーズンのCL、02年のインターコンチネンタルカップ(トヨタカップ)と、マドリーはビッグタイトルを獲得。それに、マケレレがどれだけ貢献したかは、チームメイトが口々に「バロンドールはマケレレが受賞すべき」と主張したことからも分かるだろう。

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