【高校選手権/代表校レポート】福岡・東福岡|夏冬連覇を狙う充実のタレント集団

カテゴリ:高校・ユース・その他

松尾祐希

2014年11月18日

サイドからも中央からも崩せる強力な攻撃と改善されてきた守備。

東福岡
所在地:福岡市博多区東比恵2-24-1
創 立:1955年
創 部:1970年
主なOB:古賀正紘(福岡)、本山雅志(鹿島)、金古聖司(アーントーン)、千代反田 充(徳島)、長友佑都(インテル)、坂井達弥(鳥栖)

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 今年のインターハイを制した東福岡の売りは、何と言っても破壊力抜群のアタッカー陣だ。
 
 伝統のサイド攻撃を担う右ウイングのMF増山朝陽と左ウイングのMF赤木翼は、2人くらいのマークであればいとも簡単に振り切ってしまう突破力と高い決定力を兼備。その実力は夏のインターハイでも実証済みで、両サイドから繰り出される高速アタックが、全国制覇の原動力となった。
 
 そして中央には、プロ注目のMF中島賢星がドンと構える。ドリブル、パス、シュートと全てにおいて高水準に兼ね備える背番号10は、相手にとっては常に脅威となる存在だ。たとえ外が抑えられたとしても、中で勝負ができる。これが今年の東福岡の攻撃力を支えていると言っても過言ではないだろう。
 
 また、脇を固める1トップのインターハイ得点王・木藤舜介、攻守のバランス感覚に優れた守備的MF近藤大貴の存在も、チームにとって欠かせない。さらに、2年生ながらチームを支える技巧派MF中村健人は経験を積んで大きく成長し、近藤が怪我で離脱している期間に代役としてMF藤川虎太郎が台頭してきた。
 
 一方の守備陣では、「新たな課題として失点が多くなってしまっている」と中島が語るように、インターハイ後は不安定な部分が少なからずあった。それでも、選手権予選は2失点で終えることに成功。小笠原佳祐、加奈川凌矢のCBコンビと2年生守護神の脇野敦至を中心とした守備には、改善の兆しが見えている。
 
 目に見えて充実してきたチームに関して、「皆さんが思っているほどではないですよ」と、謙遜をしてみせる志波芳則総監督だが、今予選4試合を20得点2失点と、安定した戦いで終えて見せた。
 
 特に決勝の九国大付戦では、5バックにして守備のブロックを作る相手に対し、決定機を作る場面こそ少なかったが、後半9分に増山のシュートのこぼれ球を赤木が詰め、決勝点となる待望の先制点を奪取するなど、数少ないチャンスを決め切る勝負強さを見せつけた。

プロ注目の主将・中島は、攻撃の中心としてもチームを牽引する。

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テクニカルな高速ドリブルで「ヒガシのクリロナ」の異名を取る増山。

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 しかし、森重潤也監督は「相手が5バックを敷いてくることを想定してトレーニングを積んできたのですが、実際はなかなか崩し切れなかった。もっと決定機とかシュートの場面があっても良かったと思う」と、決勝の試合内容に注文を付けた。
 
 これに関しては、中島も「選手権でも、今日のように引いてくる相手は多いと思うので、もっと頭を使って攻撃をしないといけないなと感じました」と課題を口にした。選手自身、現状には満足していない。
 
 そのような意識を持つのも、夏の王者に輝いたからこそ。もし、ちょっとした油断を見せれば、ライバルたちにリベンジをされかねない。そうならないためにも、森重監督は「(インターハイの後に)夏に勝ったからとか、相手がどことかではなく、まず自分たちを見つめ直そうと話しました」と、選手の心を引き締めた。
 
 実際、8月のプレミアリーグWEST再開後ではセレッソ大阪U-18戦に完敗するなど、調子が上がらない時期もあったが、中島と増山を欠いて挑んだ9月の東山戦では快勝。決してチームに驕りがないことを証明して見せた。
 
「三冠を達成したチーム(1997年)に匹敵する」と、志波総監督はチームのポテンシャルの高さを認める。これに対し、「まだまだ満足できないです」(中島)、「またチャンピオンになりたい」(赤木)と、選手たちは尽きることのない勝利への欲求を露わにしている。
 
 2度目の夏冬連覇を視界に捉える「赤い彗星」に隙はない。
 
福岡県予選 決勝戦短評
東福岡 1-0 九州国際大学付属
得点者/赤木
 
 試合序盤から主導権を握った東福岡だが、5バックの九国大付を前に決定機を作れない。それでもMF中島を軸に攻撃を組み立てると、次第に両ウイングのMF増山、MF赤木が仕掛ける回数が増えてくる。
 
 すると後半9分、赤木がゴール前の混戦から先制ゴールを奪う。その後は、九国大付が控えGK星加をFWとして投入する奇策を見せたが、GK脇野を中心とした守備陣が高い集中力を発揮。このまま逃げ切った東福岡が全国への切符を手にした。
 
取材・文:松尾祐希(サッカーライター)
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