韓国サッカー界で、稀代のスーパースターを巡る騒動が燻り続けている。

　現地時間７月26日に韓国・ソウルで行なわれたKリーグ・オールスターとの親善試合で、ユベントスの大黒柱クリスチアーノ・ロナウドは、「最低でも45分間は出場する」とされた韓国プロサッカー連盟との契約を守らず、全くプレーしなかった。

　これに対して、C・ロナウド目当てで高額チケットを購入していたファンが激怒。契約不履行を理由に、試合を主催したイベント代理店『The Festa』とユベントスに対し、チケット代を騙し取られたとして、60億ウォン（約５億5000万円）相当の金額を請求する訴訟を起こす大騒動に発展している。

　ユベントス側は、「チームドクターと監督、そして本人による決定だった」と理由を述べ、さらに今回のプレシーズンツアーを企画したスタッフを謝罪に向かわせるなどの対応は見せているものの、事態が収拾する気配はない。

　そんななか、日本にもゆかりのある元韓国代表のレジェンドも黙ってはいなかった。かつてジェフユナイテッド市原（現ジェフ千葉）やジュビロ磐田で活躍したチェ・ヨンスだ。

　現在FCソウルで監督を務め、問題のエキシビジョンマッチではヘッドコーチとしてKリーグ・オールスターのベンチに座っていたチェ・ヨンスは、地元紙『朝鮮日報』の取材に対し、「ファンへのサービスはしっかりするべきだった」とコメントし、こう続けている。

「組織というものが動くにあたっては、内部の秩序というものが重要になる。だからたとえスター選手であってもファンサービスは十分に行なわなければいけないと思う。ファンよりも上の存在ではありえないんだ。観客がいなければ、プロスポーツは存在意義がないからね」

　そして、チェ・ヨンスは、さらに辛辣な言葉でユベントスとC・ロナウドの振る舞いを皮肉っている。

「私はこれまでユベントスの戦術に様々な影響を受けてきた。しかし、今回の事件をきっかけに、私の頭の中からは抹消されるだろうね」

　話題に火がついてからC・ロナウドのSNSに韓国のファンから謝罪を求めるコメントが相次ぐなど、騒動が下火になる気配は全く見られない。果たして、この“事件”が沈静化するのはいつのことになるのだろうか……。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部