――日本工学院サッカーコースの監督に就任したきっかけを教えてください。
永山 マリノスと日本工学院が提携していて、マリノスから毎年指導者を派遣しているんです。今回、僕にそういう話が来て、引き受ける事になりました。
――就任間もないですが、苦労している点はありますか?
永山 練習メニューが上手く伝わらないと、逆に選手の士気を下げてしまいます。いつも試行錯誤ですが、経験の積み重ねによって、(チーム力を)引き上げていこうと思っています。練習メニューは臨機応変に。個々の選手のレベルに合わせたりしますね。
――チームの特色を教えてください。
永山 将来に夢を持って集まってきた選手たちなので、いろんな可能性があるチームだと思います。ただし、必ずしも順調に来た子ばかりではない。挫折を味わってきた選手もいます。だから、這い上がろうという気持ちや挫折をバネにする力、難しい状況を自分たちで跳ね返すメンタリティが少し欠けていると思います。
――では、どのようにして選手たちに強いメンタリティを植え付けようとしていますか?
永山 そこはサッカーなのでね。チーム内の競争を促します。なんとかして次のレベルのサッカーに挑みたい、と頑張る子にベクトルを合わせています。
――より高い目標を意識させるのですね。
永山 僕が・・・というよりも、選手自らが意識して環境を変えていけるか?というところだと思うので。
――チーム作りにおいて、一番大切にしていることは何ですか?
永山 もちろん競技なので、技術力に優れ、アスリートとしての特徴を持ち合わせている「個」は強みがある。ただ、サッカーは個人競技ではないので、協調性などのパーソナルな部分もすごく大事だと思います。 それがどちらかではなく、両方を持ち合わせているような選手が出てきてくれたらいいな、と思います。
――具体的な練習メニューを教えてください。
永山 一週間の流れで話すと、週末がゲームで、月曜日がオフなので、火曜日からしっかりフィジカル的な部分を始めます。それと並行してMFCでウエイトトレーニング。
ざっくり言うと、対人的なトレーニングとチーム戦術としてボールを使ったトレーニングの組み合わせですね。最後は試合形式の練習でコンディションを調整して、週末のゲームに臨みます。

サッカーコースには4つのチームがあるトップチームである日本工学院F・マリノスは現在、神奈川県社会人1部リーグに所属し、関東リーグをめざして日々の練習に励んでいる

日本工学院八王子専門学校にあるメディカルフィットネスセンター、通称“MFC”。最新のエクササイズマシンを用いて筋力強化などに取り組むことができる
――選手たちに徹底させていることはありますか?
永山 チームとしての規律です。学生として当たり前のことですね。事前の連絡や報告、時間は必ず守るとか・・・。コンディションの部分では、飲酒や喫煙は絶対にしないこと。当たり前のことだとは思うんですけど(笑)。あと、SNSが流行っています。それが間違った方向に行ってしまうと、日本工学院という名前やマリノスというブランドが広く影響を受けてしまうので、ルールやマナー等の部分は規律として守っていかないといけないと思っています。
――監督が考える理想のチーム像を教えてください。
永山 学生なので、ここで完結するわけではないと思います。次のチームにつながるようにすべてにおいてアベレージを上げていけるような・・・。そういう競争力のあるチームであって欲しいと思います。
――チームの目標を教えてください。
永山 毎週末、神奈川県の社会人リーグを戦っています。その成績によって、関東リーグ昇格に向けて可能性が拡がります。ただ、現在は昇格が可能な順位には付けていないので、残りの試合を頑張らないと。可能性がある限り、チーム一丸となって最善を尽くしたいと思います。
――最後に工学院サッカーコースを目指す高校生に一言お願いします。
永山 本当にサッカーが好きならば、自分の目標の実現に向けて可能性はあるはずです。自らの可能性を信じて、入学して来て欲しいと思います。
永山邦夫(ながやま・くにお)1970年9月16日生まれ、神奈川県出身。日産自動車/横浜マリ ノス/横浜F・マリノス “最後の日産戦士“と呼ばれた守備職人は現在、日本工学院八王子専門 学校サッカーコースで監督として活躍中。日産時代を含む18年間マリノス一筋という濃密なサ ッカー経験を、関東リーグ昇格を目指すチームに還元する。

日本工学院八王子専門学校 ホームページ
https://www.neec.ac.jp/hachioji/
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この記事はサッカーダイジェスト WEB 編集部と日本工学院八王子専門学校の産学連携企画として実現しました。同校スポーツビジネスコースが取材・撮影・執筆した内容を掲載しています。