「役に立つ選手」だが「脅威を与える存在」ではなかった本田

カテゴリ:メガクラブ

サッカーダイジェストWeb編集部

2014年11月03日

バロテッリがいた頃の変化の乏しいミランに逆戻りしてしまった…

よく動いた本田だが、その効果の程はというと……。背番号10の価値は勝利をもたらすゴールを生み出してこそ上昇する。 (C) Getty Images

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 常にパレルモに主導権を与え、効果的なプレーをほとんど見せられないまま、ミランは3節ユベントス以来の敗戦を喫した。相手との力関係(試合前はミラン6位、パレルモ15位)を考えれば、今シーズンのワーストゲームと言ってもいい内容だった。
 
 間違いなく連戦による疲労の影響はあっただろう。前節のカリアリ戦同様、運動量で完全に相手を下回り、厳しいプレッシングに苛まれ続けた。守備面では躍動する相手に振り回され、危険な位置でシュートコースと時間を与えてしまい、ふたつの失点を喫した。
 
 昨シーズン、マリオ・バロテッリという絶対的なCFの存在ゆえ、ミランは動きが少なく変化の乏しいチームだったが、パレルモ戦ではその悪い状態に戻ってしまった。攻撃のリズムは単調で、選手のプレーには連動正がなく、それぞれが相手のマークに封じ込められた。
 
 この状況を打開するには、前線の頻繁なポジションチェンジなどライン間での連係、そして2列目からの攻撃参加が有効なはずだが、いずれもそういった場面が見られたのがごくわずか。これでは、いかにミランが個々の技術で上回っていようとも、運動量も多く、しっかり統率されたパレルモの守備陣を破ることは不可能だった。
 
 本田圭佑は68分でピッチを去った。相変わらず、ピッチを上下左右と幅広く動き回って献身的な動きを見せながら、攻撃のチャンスを待ち続けるという我慢の時間を過ごしたが、報われることなく交代を告げられた。
 
 献身的な動きやバランス取りは大事ではあるが、2点を取り返さなければならない状況で、悪い流れを変えるためには、ドリブルやパスで相手の守備陣を常にかき回すことが求められる。その意味で、1対1での仕掛けも少なかった本田は、パレルモにとっては与しやすい相手となってしまった。
 
 本田交代後にアタッカーを次々に前線に置いたフィリッポ・インザーギ監督の判断に対しては評価が分かれるところだろうが、少なくともこの日の本田がこのままピッチに残っても、状況を打開できる予感は全く感じられなかった。
 
ボールを持ちすぎるとたびたび批判をされるジェレミー・メネーズがこの試合で最後までピッチに残されたのは、妥当な判断だっただろう。後半から投入されたステファン・エル・シャーラウィを最も活かしていたのもメネーズである。今回に関しては、本田よりもメネーズの方が、フィリッポ・インザーギ監督の意図に沿ったプレーを見せていた。
 
 ミランのキーマンとして厳しいマークを受けるようになった今、序盤戦のようにはゴールを奪えなくなったが、積極的な仕掛けや下がった位置でのチャンスメイクなどを見せ、さらに守備面でも大きな貢献を果たすということが、本田の評価を大きく高める要因となっているが、パレルモ戦では味方にとって役立つ選手ではあるものの、一方で相手に脅威を与える存在ではなかった。
 
 5日間の休息を経て行なわれる次節は、好調サンプドリアとのアウェーマッチ。挑戦する側に回るミランは持ち味の攻撃力を高められるか。そしてそのなかで本田は、求められる決定的な仕事を果たすことができるだろうか。
 
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