カリアリ戦でも献身的で安定感はあったが……本田に求められるもう一段上の貢献

カテゴリ:メガクラブ

サッカーダイジェストWeb編集部

2014年10月30日

右サイドだけでなく、「横のライン」の連係の構築が急務である。

試合ごとに相手のマークが厳しくなってきているミランだけに、より多くの武器が必要。そしてそのなかで本田が果たすべき役割は多い。 (C) Getty Images

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 中2日で行なわれたセリエAの第9節、ミランはカリアリ相手に1-1の引き分け。アウェーで勝点1を手にしたが、内容的には大部分の時間帯で相手に主導権を奪われ、反省点の多い一戦となった。
 
 押されっぱなしになったのは、まずカリアリが攻撃サッカー信奉者ズネデク・ゼーマンが率いるチームにふさわしい、アグレッシブなサッカーを見せたこと。スピーディーにパスを回してミラン陣内に攻め込み、遠めからでも積極的にシュートを放つ。ピッチを広く使い、ミランDFラインの裏を狙う攻撃が奏功し、先制点だけでなく、多くのチャンスも呼び込んだ。
 
 もうひとつの原因は、ミランの動きが全体的に少なかったこと。そして試合開始から始まったカリアリの怒涛の攻撃に、チーム全体が落ち着きを失い、攻守で正確性を欠いてしまった。
 
 そのなかで本田圭佑は、運動量は多く(最後まで持続してもいた)、プレーのミスは非常に少なく、安定していた。1対1の局面でも積極的に仕掛けていき、複数のマークを受けても簡単にボールを失うことはなかった。フィリッポ・インザーギ監督が前線で本田だけを最後まで残したのは、当然と言える判断だった。
 
 とはいえ、チームは2試合連続で引き分け。いずれも簡単な相手ではなかったが、少なくともこの2試合で勝点4は獲りたかったところだ。2試合とも相手のプレッシャーに苦しみチャンスの少ないなかで、フィオレンティーナ戦では守備のミスで同点とされ、今回のカリアリ戦は劣勢のなかで追いつくも、そこからさらなる1点を奪うことができなかった。
 
 献身的で安定感のある本田は及第点のプレーを見せたと言えるが、今やそれだけで周囲を納得させられる存在ではなくなってきている。ゴール、もしくはゴールを生み出す決定的な仕事を常に求められる。今回、それを見せたのは、相手GKが前に出ていたのを見逃さずに、頭を越す技巧的な同点ロングシュートを放ったジャコモ・ボナベントゥーラだった。
 
 この試合では、CFフェルナンド・トーレスが複数のマークを受けてもボールをキープし、シュートまで持ち込む能力を見せたが、一方でパスは正確性を欠いていた。フィジカルが強くパスセンスもある本田は、トーレスと近い位置でプレーすることで状況を打開し、チャンスを生み出すことはできなかっただろうか。キープ力に優れたふたりが多くの相手選手を引きつけ、ステファン・エル・シャーラウィといった味方選手にチャンスを提供することもできたと思われるのだが……。
 
 現在、本田とイグナツィオ・アバーテとの右サイドのコンビネーションは高く評価されているが(カリアリ戦はいまひとつだった)、前線の3人の連係はまだ完全には確立されていない。フィオレンティーナ戦でもカリアリ戦でも、互いの意思がずれたプレーが時おり見られただけに、今後、攻撃に厚みを加えるためにも、「横のライン」のコンビネーションを早急に高める必要がある。
 
 休息の時は短く、日曜日にはパレルモ戦を迎えることになるが、チームとして苦しいなかで、背番号10としての“違い”をどのように見せるのか――。監督からもファンからも期待を受け続ける本田に大きな課題が残された。
 
【写真で見る】2014-15シーズン本田圭佑の激闘
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