３月25日（現地時間）、EURO2020予選が欧州各国で行なわれ、グループBではポルトガルが１-１でセルビアと引き分けた。
 
　３日前のウクライナ戦は消化不良の内容の末にスコアレスドローに終わったポルトガルが、予選初戦のセルビアをリスボンに迎えた一戦。試合開始とともに、B・シウバがドリブルで左サイドを突破して攻撃のスイッチを入れる。
 
　４分には、右SBカンセロのクロスをC・ロナウドが折り返し、混戦からW・カルバリョが押し込むが、相手に当たってわずかに枠を外れた（判定はゴールキック）。
 
　ホームチームは良い立ち上がりを見せたが、最初のゴールはセルビアに生まれる。７分、縦パスに抜け出しループシュートを放ったガチノビッチが、飛び出したGKルイ・パトリシオに体当たりを食らってPKを獲得したのだ。
 
　これをタディッチが冷静に決めて先制に成功したアウェーチーム。５日前の国際親善試合ドイツ戦同様、最初の攻撃でゴールという効率の良さを、この試合でも披露した。

 
　出鼻を挫かれるかたちとなったポルトガルだが、すぐに反撃に転じ、９分にC・ロナウドがペナルティーエリア外からゴール右隅に鋭いシュート。さらに15分には、スローインのはね返りがR・シウバの前に転がり、決定的な場面を迎えるが、いずれもGKドミトロビッチの好反応で得点を阻まれる。
 
　ウクライナ戦とは違い、ゴール前に良質のボールが何度も入り、チャンスを作りかけるポルトガルは、23分にも左からのクロスをD・ソウザがヒールで流してC・ロナウドがシュートを狙うが、これはマーカーの必死のブロックに遭った。
 
　攻め続けるポルトガルだが、29分、大きなアクシデントに見舞われる。縦パスに反応したC・ロナウドが、右足を引きずってピッチに座り込み、自ら交代を申し出たのだ。大エースは観客の拍手を受けながらロッカールームに退き、代わりにピッスィが登場した。
 
　その後、やや静かになったスタジアムで、B・シウバが単独でドリブル突破を試みたり、D・ソウザが惜しいヘディングシュートを放ったりと、好機を作り続けたホームチームは、42分、中盤からドリブルで持ち込んだダニーロが、エリア外から右足を振り抜き、強烈なミドルを叩き込んで試合を振り出しに戻す。
 
　追いつかれたセルビアは、44分にミトロビッチが左のクロスを頭で落とし、タディッチが押し込むが、CBペペに寄せられて枠に飛ばせず、勝ち越しのチャンスを活かせない。とはいえ、守勢ながらも一発のパスでチャンスを作るなど、アウェーチームはポルトガルに脅威を与え続けた。
 
　後半、最初にゴールに近づいたのもセルビアで、49分にエリア内でラゾビッチがフリーで右足を振り抜くが、これはルイ・パトリシオがキャッチ。56分にリャイッチが前が空いた状態で放ったシュートは、クロスバーを越える。
 
　対するポルトガルは、ダニーロが遠めから２点目を狙うなど、ゴールに迫るも、決定的なかたちは作れない。57分にはD・ソウザに代えてA・シウバを投入して、攻撃の活性化を図る。
 
　サイドの攻略からきわどいクロスを入れ続ける他、パスワークで相手に揺さぶりをかけながらシュートチャンスを窺うポルトガルと、これをはね返しながら、カウンターを狙うセルビア、という展開で試合は進んでいく。
 
　70分、ポルトガルはA・シウバのクロスにW・カルバリョが反応するが、シュートは撃てず。さらに72分には、B・シウバがエリア左から入れたクロスがゴール前の混戦を生み出すも、セルビアDF陣はゴールライン上でピンチをしのぎ、逆襲からタディッチがフィニッシュまで持ち込んだ。
 
　終盤に入り、さらに攻撃のギアを上げたホームチームは、ゲレイロのFK、B・シウバのエリア左からのシュートと、幾度もフィニッシュまで持ち込み、85分には波状攻撃を展開してセルビをゴール前に釘付けにする。
 
　しかし、相手の守備の牙城は崩れず、90分にゲレイロがエリアに侵入して放った鋭い一撃も、サイドネットの外。B・シウバの右からのシュートはDFに当たり、直後のCKからA・シウバが放ったヘディングシュートも枠外……５分間のアディショナルタイムで試合は動くことはなかった。
 
　ポルトガルはホーム２連戦で得点わずか１の２引き分け。エースの負傷退場というアクシデントはあったものの、到底満足できるものではない。ブーイングのなかで試合を終えた欧州王者は、６月の予選再開までにチーム力を上げることができるか。

　なお、３月25日に行なわれたEURO2020予選の試合結果とグループ順位は、以下の通りである。