不可解な人事、強敵の存在…不安材料は多いが歴史は変わるか!?

今シーズン、早くも3度目の対決となった3節でのアトレティコ・マドリー戦。1-2の敗北を喫し、今回も勝利を挙げることはできなかった。 (C) Getty Images

コルドバとの開幕戦を勝利で飾り、迎えた2節のレアル・ソシエダ戦。守備面では相手の後手に回って4点を失い、早くも初黒星を喫した。 (C) Getty Images
ブラジル・ワールドカップで大活躍したトニ・クロースやハメス・ロドリゲスといったビッグネームを補強した一方で、昨シーズンまでチームの中核を担ったアンヘル・ディ・マリア、シャビ・アロンソを放出した今シーズンのレアル・マドリー。
欧州で最も注目を集める存在となったが、2014-15シーズンのリーガ・エスパニョーラでは、開幕戦のコルドバ戦こそ勝利を収めるも、続く2節のレアル・ソシエダ戦では2点を先取してからの逆転負け(2-4)、3節でさっそく迎えたアトレティコ・マドリーとの「マドリード・ダービー」でも1-2の敗北を喫し、3節終了時点で早くも2敗、順位は13位に沈んでしまっている。
ディ・マリアの穴、守備面の不備(セットプレーに対する対応の拙さなど)、クリスチアーノ・ロナウドへの依存といったさまざまな問題が噴出してきているが、その後行なわれたバーセルとのチャンピオンズ・リーグ・グループリーグ初戦では5-1の圧勝。実力的に開きがある相手との試合とはいえ、有能な攻撃選手たちの技術と創造力が随所に発揮され、非常に見る者にとっては満足度の高い内容の一戦となった。
カルロ・アンチェロッティ監督も称賛した内容を見せたことで、ここからR・マドリーは国内でも上昇を始めることができるだろうか。今週末に行なわれるリーガ第4節の相手はデポルティボ。ここまで1勝1分け1敗という相手のホームの乗り込むことになる。
さて、過去の成績を振り返ると、これまで開幕3試合で2敗を喫したシーズンにおいて、R・マドリーがリーガで優勝を果たしたことはない。以下には、R・マドリーがアルフレド・ディ・ステファノなどのスター選手を擁して世界的な強豪となった50年代半ば以降の、このケースが起こったシーズンを記載した(それ以前にも同様のケースは3度ほどあるが、いずれもリーグ優勝は逃している)。
最も直近では、ジネディーヌ・ジダンをユベントスから約7500万ユーロ(当時の移籍金最高額)で獲得した2001-02シーズン。リーグでは3位に終わったが(優勝はバレンシア)、一方でチャンピオンズ・リーグでは決勝でレバークーゼンをジダンの伝説的なスーパーゴールなどで下し、通算9度目の優勝を果たしている。ちなみに、このシーズン以外にも1984-85シーズンにUEFAカップ(現ヨーロッパ・リーグ)、そして55-56シーズンにはチャンピオンズ・カップ(現リーグ)の初代王者に輝くなど、欧州カップにおいては比較的好成績を残してもいる。
序盤戦の失敗がシーズン全体に響くケースは少なくなく、また前述した通り、R・マドリーがシーズン前の不可解な“人事”によって不安を抱えていること、さらにライバルのバルセロナやA・マドリーが今シーズンも強力ということもあり、「開幕3戦での2敗からリーグ優勝」という初のケースを生み出すのにはかなりの困難が伴うだろう。
このような状況の下で、優れた個の技術の融合が持つ計り知れぬ可能性を発揮して歴史を変えることができだろうか。そして同時に、「欧州カップでは比較的好成績を挙げる」という“好都合”なジンクスは継続させ、いま眼前に立ちこめる暗雲を吹き払い、輝かしいシーズンを送ることができるだろうか。
◇R・マドリーが開幕3戦で2敗を喫したシーズン(1955年以降)
2001-02シーズン
第1節:●0-1 バレンシア(A)
第2節:△1-1 マラガ(H)
第3節:●1-3 ベティス(A)
成績:リーガ3位、チャンピオンズ・リーグ優勝、スーペル・コパ優勝
1995-96シーズン
第1節:○5-1 バジェカーノ(A)
第2節:●1-2 ビルバオ(H)
第3節:●2-3 オビエド(H)
成績:リーガ6位
1993-94シーズン
第1節:○4-1 オサスナ(A)
第2節:●1-3 バジャドリー(H)
第3節:●0-4 デポルティボ(A)
成績:リーガ4位、スーペル・コパ優勝
1984-85シーズン
第1節:●0-3 バルセロナ(H)
第2節:△1-1 ヒホン(A)
第3節:●0-1 セビージャ(A)
成績:リーガ2位、UEFAカップ優勝
1983-84シーズン
第1節:○2-0 ベティス(H)
第2節:●2-6 マラガ(A)
第3節:●0-1 バレンシア(H)
成績:リーガ2位
1976-77シーズン
第1節:○1-0 サラマンカ(A)
第2節:●2-3 ビルバオ(H)
第3節:●1-3 バルセロナ(A)
成績:リーガ9位
1955-56シーズン
第1節:●1-3 セルタ(A)
第2節:○2-1 ビルバオ(H)
第3節:●1-2 エスパニョール(A)
成績:リーガ3位、チャンピオンズ・カップ優勝
欧州で最も注目を集める存在となったが、2014-15シーズンのリーガ・エスパニョーラでは、開幕戦のコルドバ戦こそ勝利を収めるも、続く2節のレアル・ソシエダ戦では2点を先取してからの逆転負け(2-4)、3節でさっそく迎えたアトレティコ・マドリーとの「マドリード・ダービー」でも1-2の敗北を喫し、3節終了時点で早くも2敗、順位は13位に沈んでしまっている。
ディ・マリアの穴、守備面の不備(セットプレーに対する対応の拙さなど)、クリスチアーノ・ロナウドへの依存といったさまざまな問題が噴出してきているが、その後行なわれたバーセルとのチャンピオンズ・リーグ・グループリーグ初戦では5-1の圧勝。実力的に開きがある相手との試合とはいえ、有能な攻撃選手たちの技術と創造力が随所に発揮され、非常に見る者にとっては満足度の高い内容の一戦となった。
カルロ・アンチェロッティ監督も称賛した内容を見せたことで、ここからR・マドリーは国内でも上昇を始めることができるだろうか。今週末に行なわれるリーガ第4節の相手はデポルティボ。ここまで1勝1分け1敗という相手のホームの乗り込むことになる。
さて、過去の成績を振り返ると、これまで開幕3試合で2敗を喫したシーズンにおいて、R・マドリーがリーガで優勝を果たしたことはない。以下には、R・マドリーがアルフレド・ディ・ステファノなどのスター選手を擁して世界的な強豪となった50年代半ば以降の、このケースが起こったシーズンを記載した(それ以前にも同様のケースは3度ほどあるが、いずれもリーグ優勝は逃している)。
最も直近では、ジネディーヌ・ジダンをユベントスから約7500万ユーロ(当時の移籍金最高額)で獲得した2001-02シーズン。リーグでは3位に終わったが(優勝はバレンシア)、一方でチャンピオンズ・リーグでは決勝でレバークーゼンをジダンの伝説的なスーパーゴールなどで下し、通算9度目の優勝を果たしている。ちなみに、このシーズン以外にも1984-85シーズンにUEFAカップ(現ヨーロッパ・リーグ)、そして55-56シーズンにはチャンピオンズ・カップ(現リーグ)の初代王者に輝くなど、欧州カップにおいては比較的好成績を残してもいる。
序盤戦の失敗がシーズン全体に響くケースは少なくなく、また前述した通り、R・マドリーがシーズン前の不可解な“人事”によって不安を抱えていること、さらにライバルのバルセロナやA・マドリーが今シーズンも強力ということもあり、「開幕3戦での2敗からリーグ優勝」という初のケースを生み出すのにはかなりの困難が伴うだろう。
このような状況の下で、優れた個の技術の融合が持つ計り知れぬ可能性を発揮して歴史を変えることができだろうか。そして同時に、「欧州カップでは比較的好成績を挙げる」という“好都合”なジンクスは継続させ、いま眼前に立ちこめる暗雲を吹き払い、輝かしいシーズンを送ることができるだろうか。
◇R・マドリーが開幕3戦で2敗を喫したシーズン(1955年以降)
2001-02シーズン
第1節:●0-1 バレンシア(A)
第2節:△1-1 マラガ(H)
第3節:●1-3 ベティス(A)
成績:リーガ3位、チャンピオンズ・リーグ優勝、スーペル・コパ優勝
1995-96シーズン
第1節:○5-1 バジェカーノ(A)
第2節:●1-2 ビルバオ(H)
第3節:●2-3 オビエド(H)
成績:リーガ6位
1993-94シーズン
第1節:○4-1 オサスナ(A)
第2節:●1-3 バジャドリー(H)
第3節:●0-4 デポルティボ(A)
成績:リーガ4位、スーペル・コパ優勝
1984-85シーズン
第1節:●0-3 バルセロナ(H)
第2節:△1-1 ヒホン(A)
第3節:●0-1 セビージャ(A)
成績:リーガ2位、UEFAカップ優勝
1983-84シーズン
第1節:○2-0 ベティス(H)
第2節:●2-6 マラガ(A)
第3節:●0-1 バレンシア(H)
成績:リーガ2位
1976-77シーズン
第1節:○1-0 サラマンカ(A)
第2節:●2-3 ビルバオ(H)
第3節:●1-3 バルセロナ(A)
成績:リーガ9位
1955-56シーズン
第1節:●1-3 セルタ(A)
第2節:○2-1 ビルバオ(H)
第3節:●1-2 エスパニョール(A)
成績:リーガ3位、チャンピオンズ・カップ優勝

守備の“隙間”を埋めていたシャビ・アロンソ、攻撃に変化を与えていたディ・マリアを失ったことで、チームが不安定な状態に陥っているR・マドリー。ハイレベルな技術を持った集団だが、現時点では個々の閃きと即興に頼りがちな状態だ。逆に言えば、それがハマった時は非常に見ていて楽しいのだが……。 (C) Getty Images

2001-02シーズンは「銀河系軍団」創成に向けて邁進している最中で、ジダンを獲得してより攻撃に重きを置いていた頃。今シーズン同様に安定感を欠き、リーガでは首位バレンシアに大きく差を広げられたが、チャンピオンズ・リーグでは粘りを見せて9度目の優勝を飾った。 (C) Getty Images