ミランのゴンサロ・イグアインは、この冬の移籍マーケットでチェルシーに移籍するか注目されている。チームをチャンピオンズ・リーグ復帰に導くことが期待されていたが、わずか半年でチームを去ることになるかもしれない。

　今シーズンのイグアインはセリエAで６得点、ヨーロッパリーグで２得点の計８得点。11月からの２か月半で１得点しか挙げておらず、若手パトリック・クトローネ（公式戦9得点）にチーム得点王の座も許しているほどだ。230分あたりに１得点と、ゴールを決めるのに２試合半を要している。

　ただ、ミランの背番号９が低調なパフォーマンスなのは、イグアインに始まったことではない。イタリア衛星放送『Sky Sport』は、「インザーギ後の９番の呪い」と題し、レジェンドであるフィリッポ・インザーギが引退してからのミランの背番号９が、いずれも苦しんできた歴史を紹介した。

　11シーズンに渡ってミランでプレーしたインザーギは、300試合で126得点を記録。144分に１回ネットを揺らし、2007年のチャンピオンズ・リーグ決勝でのドッピエッタ（２得点）など、貴重なゴールも数多く決めた。

　2012年のインザーギ引退を受け、９番を引き継いだのは、それまで７番を背負っていたアレッシャンドレ・パットだ。しかし、７番時代は「155分に１点」を奪っていたパットだが、９番になってからは「171分に１点」に数字が落ち、チャンピオンズ・リーグでわずか２ゴールを挙げたところで、半年後にブラジルへ帰国した。

　2013年夏、ミランに戻ってきたアレッサンドロ・マトリも９番を選んだ。だが、１ゴールしか挙げられず、半年後からレンタル生活を余儀なくされた。１得点を挙げるのに要した時間は933分と、インザーギ以降の歴史で最低の数字だ。
 

　翌シーズンには、スペインやイングランドで十分な実績を残してきたフェルナンド・トーレスが９番を背負ったが、“呪い”を解くことはできなかった。初先発したエンポリ戦でゴールを決めたものの、これが唯一の得点。１ゴールを決めるのに592分かかり、こちらも半年でアトレティコ・マドリーに去っている。

　入れ替わりで加入したマッティア・デストロも、F・トーレス同様にエンポリ戦で初得点を奪取。しかし、「281分に１点」とこちらもスローペースで、計３ゴールという寂しい結果に終わって買い取りには至らず。やはり半年でミランを後にした。

　次にミランが選んだのは、シャフタール・ドネツクで活躍していたルイス・アドリアーノ。だが、彼もまた１年半で６得点しか決められず、「271分に１点」という数字に終わっている。

　セリエB得点王の肩書きを引っ提げてミラン入りしたジャンルカ・ラパドゥーラも、期待に沿うことはできなかった。「170分に１点」は、インザーギが去った後では最高の数字だが、それでもミランでプレーしたのは１シーズンだけだった。

　昨シーズン、4000万ユーロ（約52億円）という大枚を叩いて獲得したアンドレ・シウバも、“呪い”には勝てなかった。ヨーロッパリーグではコンスタントにネットを揺らしたが、セリエAではわずか２ゴールに終わり、「202分に１点」というペース。やはり１シーズンでセビージャに去っている。

　そのほか、９番ではなかったが、カルロス・バッカ（174分に１点）やニコラ・カリニッチ（327分に１点）など、苦戦を強いられたミランのストライカーはほかにもいる。

　イグアインも半年でユニホームを脱ぐ可能性があるミラン。このまま“呪い”から解放されることはないのだろうか。