【番記者通信】勝者のいない“守護神論争”の決着は――|R・マドリー

カテゴリ:メガクラブ

パブロ・ポロ

2014年03月11日

些細なミスをあげつらって、D・ロペスを批判する論調。

問題しか生まない、カシージャス(左)とD・ロペス(右)の併用。D・ロペスの放出で守護神論争は終息か。(C)Getty Images

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 ゴールマウスを巡る論争が尽きない。私の取材によると、この夏にはどちらかのGKがクラブを後にする。イケル・カシージャスか、ディエゴ・ロペスか、だ。カルロ・アンチェロッティ監督は認めなくても、一方が退団することはほぼ確実だ。

 この論争で誰よりも被害を被っているのは、D・ロペスだろう。どんなに良いプレーをしても、カシージャスを愛するメディアやファンによって、ほんの些細なミスをあげつらわれ、針小棒大に喧伝されるからだ。アンチェロッティもカシージャスも、もちろん被害者だろう。カシージャスは、正GKに関する質問に疲れ果てている。誰もがそのことを彼に問い、主将は同じ答を繰り返さなければならない。

 先日のマドリードダービーでも、守護神論争は熱くなった。きっかけは、アトレティコのガビが決めた32メートルのミドルシュート。たしかに、D・ロペスに非はあった。それは間違いない。しかし、私はこう指摘したい。
「もしカシージャスが正GKで同じようなミスを犯したら、はたして周囲は同じように批判をしただろうか?」
 答は間違いなくNOだ。

 こうした状況に、クラブは終止符を打ちたがっている。ディエゴ対イケルの構図は、ピッチ内外で問題しか生まないからだ。

 6月にマドリーを後にするのはディエゴのほうだと、私は思っている。ディエゴは素晴らしいパフォーマンスを見せており、多くのクラブが獲得に関心を示している。この騒動を治めたがっているマドリーにしても、それほど巨額の移籍金は要求しないだろう。

 この状況を冷静に受け止めつづけているカシージャスの振る舞いを、クラブは評価する。もちろん、国王杯とチャンピオンズ・リーグでのパフォーマンスに対してもだ。ディエゴとイケルの併用――それは結婚した夫婦にも似ている――は、いずれにしてもこの6月までだろう。

 どちらもベンチには座りたくない。アンチェロッティが決めた、「リーグ戦はディエゴ、国王杯とチャンピオンズ・リーグはイケル」という分業制は、ここまでは機能しているとはいえ、ずっと続くものではない。


【記者】
Pablo POLO|MARCA
パブロ・ポロ/マルカ
スペイン最大のスポーツ紙『マルカ』でレアル・マドリー番を務める敏腕記者。フランス語を操り、フランスやアフリカ系の選手とも親密な関係を築いている。アトレティコ番の経験もあり、首都の2大クラブに明るい。

【翻訳】
豊福晋
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