ラウール以来のカンテラの星――ヘセ|R・マドリー

カテゴリ:メガクラブ

下村正幸

2014年02月20日

高い壁、大きな試練を越えてこそ。

スペインU-20代表として、2013年のU-20ワールドカップに出場。持ち前の決定力を発揮し、得点ランク2位の5ゴールをマークした。 (C) Getty Images

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 ヘセ・ロドリゲスの快進撃が留まるところを知らない。昨年10月、敵地カンプ・ノウでのクラシコでマークしたトップチーム初得点を皮切りに、ピッチに立てばゴールに直結するプレーを連発している。開幕当初は「FWの6番手」だった序列が、いまやガレス・ベイルとレギュラーを争うまでに存在感を高めている。カンテラ(下部組織)上がりの逸材アタッカーの台頭に、ファンの期待は高まる一方だ。彼らが重ね合せているのは、同じくカンテラ育ちのレジェンド、ラウール・ゴンサレスだ。

 フィジカルの強さを活かしたダイナミックなドリブル突破と高い得点力を兼備したセカンドトップとして、若い頃から将来を嘱望されてきた。特筆すべきは、スピードに乗った多彩なフィニッシュワーク。瞬時にトップギアに入るフリーラニングでスペースに走り込み、ボールを受けたらすぐさまシュート体勢に持ち込める。豪快なプレースタイルとは裏腹の繊細なボールタッチで相手を翻弄し、ベテラン顔負けの落ち着きで確実にゴールを射抜く老練さも併せ持つ。

 流れるような身のこなし、その端々に感じられる閃き、的確な状況判断は、まさしく天性のもの。その天賦の才を、世界的なビッグスターに囲まれながら堂々と発揮する21歳には、大物感が滲み出る。クリスチアーノ・ロナウドと比べ、長い距離を爆走するドリブルの威力は劣るものの、フィニッシュの精度は偉大な先輩のデビュー当時よりも上。その才能はまさしくラウール譲りだ。

 圧倒的な才能を持て余し、精神的な未熟さを指摘されたのは、もはや過去の話だ。守備でもハードワークをこなし、ベンチスタートでも腐らず出番に備える。精神的な成長が、ブレイクの一因であるのは間違いない。一方で、「4年以内にバロンドールを狙う」と豪語するなど、いい意味でのふてぶてしさを失っていない。

 もっとも、現行の4-3-3システムでは、ロナウドとベイルがポジション争いのライバルで、さすがに分が悪い。ファンの間では、ヘセをスタメンに推す声が日増しに高まっているが、ロナウドは絶対不動の大エースで、ベイルには史上最高額の移籍金(約120億円)で入団した経緯がある。カンテラ上がりの21歳の前には、政治的判断という壁も立ちはだかる。

 それでも、レアル・マドリーのカンテラーノ(下部組織出身者)がトップチームで成功を収めるためには、そうした高い壁、大きな試練を乗り越えていかなければならない。ラウールがそうだったように、ヘセにはその器量があると、マドリディスタ(R・マドリーのサポーター)は信じている。

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