[J１リーグ24節]湘南０-０FC東京／８月26日／BMWス

　辛抱強く守ったが、湘南に歓喜の瞬間は訪れなかった。

　８月26日に行なわれたJ１リーグ24節のFC東京戦はスコアレスドロー。５試合ぶりの勝利は掴めず、順位も14位に下げた。気が付けば、Ｊ１参入プレーオフ圏内16位・鳥栖との勝点差は２。１試合消化が少ないとはいえ、厳しい状況に追い込まれつつある。
 
　悪い流れを断ち切れないなかで、曺貴裁監督はFC東京戦で選手たちの成長を感じたという。
 
「今日は前半に決定的なピンチがあり、それを秋元（陽太）が止め、今までと逆の形で流れを掴んだ。２、３年前なら、間違いなくあそこで失点してそのまま負けていた」
 
　指揮官が振り返ったように、FC東京戦の前半は相手のカウンターにまるで対応ができなかった。ヒヤリとする場面は一度や二度ではない。34分には太田宏介の左CKから森重真人、41分には立て続けにリンス、室屋成にシュートを放たれてしまう。しかし、守護神・秋元のビックセーブや守備陣の身体を張った守りで難を逃れ、相手に先制点は許さなかった。
 

　苦しい時間帯に守り切れるようになった点はチームとしての成長だろう。
 
　また、曺監督は選手たちの立ち振る舞いにも目を細めた。試合後のロッカールームでの出来事だ。劣勢のゲームで勝点１を獲れたことに満足しても不思議ではないが、誰ひとりとしてそういう言葉や素振りを見せる者はいなかったという。
 
　実際に試合後に秋元も「試合後に話しましたけど、誰ひとり満足していない。次が大事。僕自身も（シュートを）止めたからといって満足していない。なので、僕は勝てなかったことに矢印を向けている」と話した。
 
「水を撒いて、種から育って、ひまわりになっていくではないですが、右に行ったり左に行ったり、時にはもつれて伸びないときもあります。だけど、どんな形でも前を向けるチームだと思います」と指揮官が形容したのも、チームが前進しているからこそ。Ｊ１残留に向けて厳しい戦いを強いられているが、湘南は一戦ごとに逞しさを増している。

取材・文●松尾祐希（サッカーダイジェストWeb編集部）