【７月１日・ニジニ・ノブゴロド｜決勝トーナメント１回戦　クロアチア １（３PK２）１ デンマーク】

　開始４分で互いに１点ずつを奪い合い、さらにPK戦にまでもつれ込んだ息詰まる激闘を制したクロアチア。その大接戦において殊勝な活躍を見せたのは、33歳のベテラン守護神ダニエル・スバシッチだった。

　見せ場となったのは、雌雄を決したPK戦だ。

　デンマークの１番手、名手クリスティアン・エリクセンのシュートを横っ飛びでセーブすると、４番手のラセ・シェーネも止め、さらに５番手ニコライ・ヨルゲンセンの渾身の一撃も見事に読みきってストップしてみせた。

　キャリア15年のベテランGKが見せた完璧なPKストップに、各国メディアも驚嘆している。

　米スポーツ専門メディア『ESPN』は、「ドラマチックなPK戦」と両軍GKが活躍したことを称えつつ、３本を止めてみせたスバシッチについては、「デンマークのキッカーは彼を欺くことはできなかった。スバシッチのスーパーセーブがクロアチアを危機から救った」と絶賛した。
 

　また、独紙『NRZ』は、マッチレポート内で、「クロアチアはスリリングなPK戦を救ってくれたスバシッチに感謝すべきだ」と綴り、「大勢の観客が劇的な瞬間を目にした。彼の一切の集中力も欠くことが無かったセービングが試合を決した」と讃えた。

　当然、母国メディアもスバシッチの好守に頭が上がらない様子だ。

　地元有力紙『SN』は、「ああ！ こんなことってありえるのか!? スバシッチが３度もPKを止めてロシア戦に連れていってくれた」と絶賛し、さらに次のように続けている。

「延長後半終了間際にシュマイケルによってモドリッチの非力なPKを止められていたが、クロアチアは心理的に追い込まれてはいなかった。そして、スバシッチは最高の価値を示してくれた。彼のパフォーマンスはまさしく『英雄』という言葉に相応しいものだった」

　スバシッチのファインセーブによってベスト８へ駒を進めたクロアチア。前回８強へ行った1998年のフランス大会では３位となっているが、今回ははたしてどこまで勝ち上がれるのか――。次なる相手はスペインを破った開催国ロシアだ。