【英国人コラム】天皇杯の手本となったFAカップこそイングランド・サッカー界の象徴だ!

カテゴリ:メガクラブ

スティーブ・マッケンジー

2018年05月22日

英国サッカーファンにとって特別な場所。

今シーズンのFAカップを制したチェルシーの面々。 (C) Getty Images

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 5月19日(現地時間)、イングランドは全世界の注目を浴びる2つの大きな瞬間を迎えていた。

 一つは、ハリー王子とメーガンさんによる「ロイヤルウェディング」。そしてもうひとつが、チェルシーとマンチェスター・ユナイテッドのFAカップ・ファイナルだ。私は残念ながら世紀の結婚式に招待されなかったため(笑)、FAカップ決勝へと赴くことにした。

 大会通算137回目の決勝戦は、イングランド・サッカー界を代表するメガクラブ同士の一戦となり、世界中のサッカーファンからの注目度は高まっていたはずだ。しかし彼らは、この戦いが昨年8月から始まっていたことを理解しているだろうか。いや、していないはずだ。

 世界で最古のカップ戦には、今シーズン、計11000人のプレーヤーが参加。FAに登録する737のクラブがしのぎを削り、3000ものゴールが誕生した。

 FAカップの形式は、日本のエンペラーズ・カップ(天皇杯)と同じだ。

 まず、アマチュアとセミプロが予選を行なうところから始まり、いわゆるプロクラブが登場するのは、11月に行なわれる1次ラウンドから。プレミアリーグのクラブは3次ラウンドからのお出ましとなる。つまり、アマチュアのクラブが優勝するには、14(試合)もの関門を潜り抜けなければならない。

 どのクラブにもチャンスが与えられるFAカップは、英国でサッカーを愛する人々にとっての“心臓”であり、特別な場所だ。どのチームが決勝に勝ち上がろうとも、誰もが注目する、シーズンのハイライトとなる大会なのだ。

 そんなFAカップを語るうえで欠かせないのが、“アンダードッグ(負け犬)”たちによる下剋上だが、今シーズンはそうしたものは一切起きず、順当に大会が進んだ。チェルシーがマンチェスター・Uを打ち負かした決勝が行なわれた事実が、何よりもその順当ぶりを物語っていた。

 とはいえ、やはりFAカップは、プレミアリーグでは味わえないイングランド・サッカーの楽しさを経験できる数少ない場だ。日本のサッカーファンもぜひ、8月の予選からこの戦いを追ってみてほしい。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

【著者プロフィール】
STEVE MACKENZIE/1968年6月7日にロンドンに生まれる。ウェストハムとサウサンプトンのユースでのプレー経験があり、とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝を飾った。
 
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