４月３日（現地時間）、チャンピオンズ・リーグ（CL）準々決勝の第１レグが行なわれ、セビージャとバイエルンが対戦した。
 
　クラブ史上初のCLベスト８に勝ち進んだセビージャが、本拠地サンチェス・ピスファンに強敵バイエルンを迎えた一戦は、キックオフ前からスタジアム詰めかけたはセビジスタ（熱狂的なセビージャファン）たちの大声援によって大いに盛り上がったが、試合は開始直後からアウェーチームがボールを支配する中で始まった。
 
　立ち上がりから猛烈なプレッシャーをかけてくるセビージャを巧みなパスワークでいなしたバイエルンは、６分にフランク・リベリ、10分にトーマス・ミュラーと相手ゴールを脅かす決定機を創出していった。
 
　押し込まれたセビージャもやられてばかりではない。20分、左サイドからのクロスボールをボックス内でウィサム・ベン・ヤーデルが落とし、最後はフリーとなっていたパブロ・サラビアが狙ったが、この渾身のショットは惜しくも枠を外れた。
 
　その後もボールを支配するバイエルンと速攻から隙を伺うセビージャという構図で試合が進むなか、均衡を破ったのは後者だった。
 
　32分、左サイドを攻め上がったセルヒオ・エスクデロがアーリークロスを供給。これをファーサイドにいたサラビアがお腹でコントロールしてマーカーのファン・ベルナトを外して、今度は左足で冷静にネットを揺らした。


 

　ホームチームが先手を取ったことでスタジアムは異様なムードとなったが、ドイツの絶対王者はセビジスタたちに余韻に浸る暇を与えない。37分、敵陣深くでボールを持ったハメス・ロドリゲスのパスを左サイドで受けたリベリがボックス内に折り返すと、これが無情にもセビージャのヘスス・ナバスの足に当たってゴールへ吸い込まれた。
 
　セビージャに苦戦を強いられたバイエルンが何とか追いついたなかでハーフタイムに突入した試合は、後半もアウェーチームがボールを支配した。
 
　60％以上もポゼッション率を保ちながらセビージャの出足の鋭いプレッシングに手を焼いたバイエルン。そんなドイツの絶対王者を救ったのは同点弾を呼び込んでいたベテランだった。
 
　敵陣の左サイドでボールを持ったリベリは、ファーサイドへやわらかいクロスボールを供給。これにチアゴ・アルカンタラがダイビングヘッドで合わせると、最後はエスクデロの足に当たってゴールとなった。
 
　リベリのクレバーなアシストから貴重な２つ目のアウェーゴールを奪ったことでプレーに余裕も見えはじめたバイエルンに対し、セビージャもサポーターの後押しに応えようと奔走。78分にサンドロ・ラミレス、80分にルイス・ムリエルと矢継ぎ早にストライカーを送り込んでゴールを目指した。
 
　攻勢に出たセビージャは、81分にサンドロ、82分にステベン・エヌゾンジがそれぞれ相手ゴールを脅かすシュートを放つ波状攻撃を展開。それでも百戦錬磨のバイエルンの守備は堅く、ホームチームはいずれの決定機も決めきることはできなかった。
 
　結局、試合は２-１でバイエルンが勝利。史上初めて踏み入れたベスト８の舞台で躍動するセビージャに勝負強さを見せつけての見事な逆転劇であった。
 
　敵地で２つのアウェーゴールを奪ったバイエルンはこのままベスト４に勝ち進むのか。それともセビージャが逆転させるのか。興味が尽きない対戦の決着は、４月11日にアリアンツ・アレーナでの第２レグで決する。