最後にピッチに立ったのは、いまからおよそ１年半も前だ。アーセナルが誇る元スペイン代表MF、サンティ・カソルラは戦列復帰に向けて、懸命のリハビリに取り組んでいる。
 
　2012年夏に北ロンドンに舞い降りた“魔法使い”。瞬く間にアーセン・ヴェンゲル監督の信頼を勝ち取ってレギュラーの座を確保すると、左右両足から繰り出すファンタジー溢れるパス＆ショットでエミレーツ（アーセナルの本拠地）のファンを魅了し、押しも押されもしない攻撃の中軸となった。

 
　しかしながら、大小の負傷離脱を繰り返していたカソルラは、2016年10月にアキレス腱を傷める致命傷を負ってしまう。そこからのリハビリや治療が上手く行かず、重ねた手術はこれまでに10回を数える。今年１月、英メディアの取材に応じた際には、「もうタオルを投げようかと考えた時も正直あった。これ以上やる価値があるのかとね。担当医からは『歩けるだけでもラッキーだぞ』と言われていたから……。でもいまは前向きだ。来年にはピッチに戻れると確信しているよ」と気丈に話していた。

 

　そんなカソルラを応援する意味を込めて、リーガ・エスパニョーラ公式ツイッターが投稿したのが、マラガとビジャレアル時代に披露したファインゴール集だ。ベスト10形式で編集し、「みんなの大好きなアイドルだ」と題している。図抜けたパスセンスの持ち主だが、ゴール嗅覚も抜群。とりわけ直接FKの精度は驚異的で、ムービー内でも妙技を炸裂させている。コメント欄には「偉大なるアタッカー」「生粋のエンターテナー」といった称賛のコメントとともに、「早く戻ってきて」「君のプレーが恋しい」など励ましのメッセージも相次いだ。
 
　アーセナルとの契約は今年６月いっぱいで切れるが、１年間の延長オプションが付帯されている。クラブはぎりぎりまで怪我の状態をチェックし、復帰への道筋が見えたなら、即延長する予定だという。はたしてファンタジスタはふたたびピッチに舞い戻れるのか。エミレーツのファンの誰もが、あの超絶技巧の復活を切望している。