[J１リーグ５節]仙台１-０長崎／３月31日／ユアスタ

「我々にとっては良くない試合、それでも勝てた、ただそれだけだったかなと思います」
　長崎に１-０で勝利し、３勝２分けで２位に浮上した後の会見とは思えない程、仙台の渡邉晋監督は会見上で憤り、悔しさをあらわにしていた。

 
　序盤は長崎のペースだった。この日のために２トップに布陣変更した長崎は、ファンマと鈴木武蔵の２トップに仙台ディフェンスラインの背後を狙わせ、チャンスをつくりだした。
 
　対する仙台は、昨季３バックの相手ではなかなか数的優位を作れなかった教訓を生かそうとする。ここまでシャドーでの出場が続いた阿部拓馬を１トップに起用。逆に１トップだった石原直樹をシャドーとし、阿部の突破力で長崎の背後のスペースを突こうと試みたが、結果的に前線へのアバウトな長いボールが増え、相手にセカンドボールを奪われる場面が目立った。

　しかし「紅白戦でもたくさんゴールを決めていて好調」と、試合前に渡邉監督が評していた今季リーグ戦初先発のFW西村拓真が結果を残す。31分、右サイドを突破したMF古林将太のクロスボールを長崎MFの中原彰吾がゴール前でクリアしようとするもミスとなり、ニアサイドでDF徳永悠平のマークを外してフリーになった西村が「良いところにこぼれてきた」とこぼれ球を拾う。西村はGK徳重健太をかわして左足でシュートを叩き込んだ。渡邉監督にペナルティエリアの両サイドのスペースの使い方を叩き込まれた西村が、見事に先発起用に応えた。悪い流れの中でも、ここまで積み上げてきた良い“立ち位置”を取り続けるスタイルの完成度は、さすがで先制点をもぎ取ることに成功した。
 

　この直後阿部をシャドーに戻し、石原を１トップに戻す。実は渡邉監督は阿部の１トップが機能していないことを開始早々に感じ取っていたのだが「始まってすぐに代えて、手が無くなるのも嫌だったので、ちょっと様子を見ました」と、敢えて入れ替えを思いとどまっていたところ、西村のゴールが生まれた。「後半からでも良いかと思ったのですが、スコアを動かして、自分たちが落ち着きを取り戻すのと同じタイミングで代えて、もう１回パワーを持つのが狙い」と通常の布陣に戻したことで主導権を取り戻し、前半は１点リードで終えたところまでは、まずまずの内容だった。