スポーツ界きってのビッグスターの到来がドイツの名門に様々な影響をもたらしている。
 
　現地時間３月23日からドルトムントの練習に参加し、トライアウトを受けているのが、元陸上選手のウサイン・ボルトだ。
 
　昨年８月の世界陸上で引退して以降、常に口にしてきた夢、「サッカー選手としてのプロ契約」を叶えるべく、これまでにＪリーグの川崎フロンターレや南アフリカのマメロディ・サンダウンズの練習などに飛び入り参加してきたが、現在は同じスポンサードを受けるプーマ社の計らいもあって、ドルトムントでの“入団テスト”に臨んでいる。
 
　流石に元金メダリストというだけあって、そのパフォーマンスは上々。ドルトムントのドイツ代表FWマルコ・ロイスの言葉を借りれば、「トレーニングセッションに参加している彼を見ていたけど、いくつか通用するサッカースキルを持っている」という。

 

　そんなボルトの練習参加に不安を募らせる選手もいる。それはベルギー代表FWのミチ・バチュアイだ。
 
　今年１月の移籍市場でチェルシーからレンタル移籍をして以来、アーセナルにピエール＝エメリク・オーバメヤンを売却したドルトムントの頼みの綱として公式戦11試合８ゴールと結果を残している。
 
　そんなベルギー代表FWは、現在代表チームに帯同しており、ボルトとのトレーニングセッションを行なえていない。そのため、『Sky Sports』の取材でボルトの練習参加について次のように心境を吐露している。
 
「ほんとボルトは僕のポジションを奪わないでほしいね（笑）」
 
　ボルト本人が攻撃的ポジションでのプレーを希望していることもあって、冗談交じりに不安を募らせたバチュアイだが、世界最高峰のアスリートへのリスペクトを欠かすことはなかった。
 
「彼のようにスポーツ界の頂点を極めた人物を間近に見られる機会はとても貴重だ。僕がドルトムントに戻った時にボルトがまだいてくれるとうれしいけど……」
 
　ボルトへの敬愛も示したバチュアイ。今シーズン終了後にはチェルシーへレンタルバックされることが濃厚だが、ドルトムントが買い取りの意志を示せば、一転して、残留する可能性もある。そうなった場合にボルトとバチュアイがポジションを争うという状況が訪れるかもしれない。