[J１リーグ３節]柏１-１Ｃ大阪／３月10日／三協F柏
 
　１-１のドローに終わった柏戦、C大阪の杉本健勇の存在感は際立っていた。
 
　高さを活かしたハイボールの競り合いで最前線の起点になれば、試合終盤にはクロスに合わせて際どいヘディングシュートを放つ。長身FWとしての能力を如何なく発揮していた。
 
　さらに目を引いたのは、プレーの引き出しの多さだ。
 
　最前線の起点として、空中戦に加え、地上戦でも相手に身体を当てつつ時間を作るポストプレーも見せた。例えるのであれば、日本代表での大迫勇也のプレーに近いだろう。また、低い位置まで落ちてボールを捌く場面もあった。
 
　ゴールゲッターとしては、相手の最終ラインの裏を積極的に突いた。シュートはGKに阻まれたものの、６分の水沼宏太からのスルーパスに抜け出したシーンは見事な動き出しだった。

　その多彩なプレーを使い分けながら、連続して見せていたのは特筆に値する。実際、視察に来ていたヴァイッド・ハリルホジッチ監督も杉本を称賛。その内容について報道陣から「今日はハリルさんが来ていて、去年よりも運動量とプレーの連続性が上がったと褒めていましたよ」と投げかけられると、セレッソのストライカーはこう切り返した。
 
「やっぱり連続した動き、相手の背後を狙うというところは、ハリルからも言われていることではある。それは監督に求められているだけでなく、点を決めるために必要な動きだから増やさなければいけない。あとは、チャンスがあったので決め切らなければ」
 
　さらに、惜しくも外した前述のヘディングシュートについては、「当たり所が悪くて、狙い通りではなかった。やっぱり、チャンスで決めれる選手にならないと。チャンスはあるから、どれだけそこに多く絡めるか。その中で何本、決めれるかだと思うので頑張ります」
 
　３月シリーズの日本代表戦の選考は「どうなんやろ」とおどけていた杉本。選ばれるかは定かではないが、Jリーグ内でも指折りのストライカーに成長しているのは間違いないだろう。
 
取材・文●志水麗鑑（サッカーダイジェスト編集部）