[J１リーグ１節]仙台 １-０ 柏／２月25日／ユアスタ
 
　ホームに柏を迎えた開幕戦で、仙台の板倉滉が豪快な一撃を突き刺した。
 
　53分、CKの流れから古林将太が右サイドでボールを受けると、山なりのクロスを上げる。そこに高い打点で飛び込んだのは今季に加入した板倉。力強いヘディングシュートを突き刺し、開幕戦でいきなり移籍後初ゴールを挙げた。
 
　自分でも「すごい気持ち良かった」と喜ぶほどの見事な得点だ。期待の新戦力のプレーは「ほかのプレー面で堅い部分はあったし、隙も多々あった」と謙遜したが、ゴール以外でも才能の片鱗をうかがわせた。
 
　なかでも、目を引いたのは、ビルドアップ時に見ているパスコースの多彩さだ。
 
「状況によって（パスの）選択肢の数は違うけど、ボランチとウイングバックは最低限。監督にも良く言われる一番遠く（相手の最終ラインの裏）は少なかった。そこがダメならFW（の足もと）とか、チャンスの動きをしてくれた時に見逃さないように意識をしている」

　実際、この試合はまだ味方と呼吸があわないこともあり、チャンスにつながるパスは数える程度。それでも、スペースがあればドリブルで持ち上がったり、鋭い縦パスをつけたり、浮き球のスルーパスを狙うなど、多彩なプレーで攻撃のアクセントになっていた。
 
　やはり、そのスキルは同じポゼッションを標榜する川崎での経験が活きているようで、「周りを見れていないとプレースピードも遅くなって、（ボールを）取られる回数も多くなる。そこはずっと意識している」と前所属での学びを語る。
 
　また、確かなポテンシャルがありながら川崎では出場機会が限られていただけに、本人はさらなる成長に意欲を覗かせる。
 
「３バックなので、まずは守備から。ゴールのほかでも攻撃参加でチャンスを作れるようにしたい。（これからは）練習や練習試合でできても、公式戦の雰囲気や緊張感のなかでできるかが大事になってくる。練習の時よりかは視野が狭くなっているので、試合をこなしながら視野を広げて余裕を持てるようにやっていきたい」
 
　板倉は上々のスタートを切って「全試合に出るつもりでやっていく」と強く意気込む。期待の若手ＣＢが仙台で飛躍できるか、今後の活躍が楽しみだ。

取材・文●志水麗鑑（サッカーダイジェスト編集部）