• トップ
  • ニュース一覧
  • 【現地発】「いまのバルサには確固たる勝利の方程式がある」相手監督のコメントやデータが立証

【現地発】「いまのバルサには確固たる勝利の方程式がある」相手監督のコメントやデータが立証

カテゴリ:メガクラブ

エル・パイス紙

2018年01月30日

バルベルデ監督の修正力はもはやマジック。

バルベルデ監督が見出した現在の戦い方は、パスを主体とするバルサの伝統とメッシら前線の選手の個人技を両立させた、ある意味究極のスタイルと言えるのかもしれない。(C)Getty Images

画像を見る

 前半は、隙あらばゴールにチャレンジするという姿勢をつねにチラつかせながら、敵陣で素早くパスを回し、相手をとことん走らせ、体力を奪う。そして後半、一気に勝負をかける――。今シーズンのバルサには、確固たる勝利の方程式がある。

 それを裏付けるのが、対戦相手の監督や選手のコメントであり、ここまでの試合のデータだ。1月22日までに消化した34の公式戦で、バルサは81得点を挙げた。そのうち後半に叩き出したのが、全体のおよそ68%に当たる55得点だった。

「終わってみれば……」。これは、今シーズンのバルサの試合を振り返る際によく使われるフレーズだ。スコアレスドローで前半を折り返し、後半に大量5ゴールを奪って5-0の勝利を飾った20節のベティス戦などは、その最たる例だった。

 ベンチ入りを禁じられたキケ・セティエン監督の代役として、バルサ戦で指揮を執ったベティスのエデル・サラビア第2監督は試合後、次のように敗戦の弁を述べた。

「バルサにボールを保持させないために、前半は激しくプレスをかけようと試みた。疲労が蓄積する前に勝負を決めたいという狙いもあった。でも後半開始早々に先制点を奪われ、失速してしまった」

 ベティスがバルサに5ゴールを奪われたそのちょうど1週間前、バルサから2点のリードを奪いながら、前半終了間際から後半にかけて大量4失点を喫し、敗軍の将となったレアル・ソシエダのエウセビオ・サクリスタン監督も、同様のコメントを口にした。

「前半はなんとかバルサを自陣に閉じ込めることができた。だが後半になると、ウチの選手たちは高いインテンシティーを維持できなくなっていた」

 ゴール以外の数字からも、今シーズンのバルサの特徴は見て取れる。これはリーガ限定の数字になるが、前半の総パス本数が6830本であるのに対し、後半は6025本と13%減少しており、逆に、ドリブル成功数は前半が252回で後半が309回と、こちらは22%増加。またシュートの本数も、144本から168本へと後半は16%増加しているその事実が、前半と後半の異なる戦い方を裏付けている(データはすべて1月22日時点のもの)。

 あるバルサ関係者に、後半に強い理由を尋ねると、3つの要因を挙げてくれた。ひとつ目はここまで説明してきた通り、チームのプレースタイルにあるという。

「序盤からパスを追いかけて走らされた相手は、時間の経過とともに疲労が蓄積される。後半を優位に戦えているのは、それだけバルサらしさ、つまりパスサッカーを徹底できている証拠だ」

 その関係者がふたつ目の要因として挙げるのが、選手のメンタルの強さだ。「選手は最後まで勝利を信じ、決して諦めない」と語る。

 これについては、セビージャのMFパブロ・サラビアも同じことを言っていた。「バルサの多くの選手は、チャンピオンズ・リーグのファイナルのようなビッグゲームを数多く経験している。だから、滅多なことでは動じない。そうした精神的な落ち着きが、フィジカル面にもポジティブな影響を与えている気がする」

 クラブ関係者が3つ目の要因として、驚きとともに指摘するのがエルネスト・バルベルデ監督の高い修正力だ。

「バルベルデの戦術を修正する能力は、特筆に値する。大胆な変化を求めるときもあるが、そのほとんどが微調整と呼べるもの。それで劇的に状況を変えてしまうんだから、もはやマジックと表現してもいい。しかも試合を重ねるにつれて、その精度は高まっている印象がある」

 バルサは今シーズン、敵にリードを許すか引き分けの状態で前半を終えた試合が16試合ある。そのうち9試合で勝利し、1試合は同点に持ち込み(アトレティコ・マドリー戦)、5試合はスコアが動かずドローのまま試合を終えた(リーガのセルタ戦とコパ・デル・レイのセルタ戦、バレンシア戦、ユベントス戦、オリンピアコス戦)。そして残りの1試合が、終了間際に決勝ゴールを許し、0-1で敗れた先日のコパ・デル・レイ準々決勝のエスパニョール戦(第1レグ)だ。

 そのクラブ関係者は、自信ありげに語る。「ポイントはいかに先制ゴールを挙げるか。試合によっては時間を要することもあるが、それさえできれば、あとはリスクを冒して相手が前がかりになったところを突いていけばいい」。

 勝利の方程式はすなわち、バルサの伝統のプレースタイルと、リオネル・メッシを中心とした圧倒的な破壊力を誇る攻撃陣の融合によって、初めて成り立つものなのだ。

文●ジョルディ・キシャーノ(エル・パイス紙/バルセロナ番記者)
翻訳:下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています


 
【関連記事】
またしてもバルベルデ采配がバルサを救う!コウチーニョはスタメン出場を果たすも…
スアレス&メッシのゴールでバルサが4強へ!デビューのコウチーニョも格の違いを見せつける
マスチェラーノ、送別式で声を震わせながら…「バルサは僕のキャリアにおいて最高の章だった」
止まらないバルサ、メッシとスアレスがふたりで4発を叩き込みリーガ無敗を貫く
バルサのラフィーニャがインテル移籍へ!買い取りが実現すればマシア史上最高額の収益に

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ