[J１リーグ33節]浦和 ０-１ 川崎／11月29日／埼玉
 
　勝たなければ鹿島の優勝が決まる厳しい状況で迎えた浦和戦は、川崎にとって苦しい内容となった。14分に小林悠のゴールで幸先よく先制したものの、後半は攻め込まれる展開が続き、自慢の攻撃サッカーを見せられる時間は限られた。
 
　それでも「自分たちのサッカーができて大量得点で勝てれば一番良かったですが」と中村憲剛は前置きしつつ、「内容が良くても引き分けたり、負けたりしたら今日は終わっていた。もちろん内容が良くて勝てれば良いですが、そんなこと言ってられないので」と振り返る。
 
　そして「焦れて守備に穴を空けて失点というのが今までのフロンターレだった。クロスの対応でも最後に身体をぶつけてやらせなかったり、やらせても（チョン・）ソンリョンのカバーに入ったりだとか、細かなところですが、最後のところをフリーにさせなかった。そういうところの成長は感じられました」と手応えも語る。
 
　12月２日の最終節ではホームで大宮と対戦する。川崎は勝利が絶対条件で、アウェーで磐田と戦う鹿島が引き分け（勝点で並ぶが、得失点差では川崎が12ポイント有利）もしくは敗れた場合のみ、逆転優勝の可能性が発生する。
 
　他力本願であることに変わりはないが、追い詰められた浦和戦で勝利したことでチームに勢いが増しているのは確かだ。「最後は思い切ってやるだけです」。中村の表情にも迷いはなかった。
 
取材・文●本田健介（サッカーダイジェスト編集部）