なぜ湘南はぶっちぎりでJ2を制覇できたのか?番記者が明かす悲願達成までの道のり

カテゴリ:Jリーグ

隈元大吾

2017年11月02日

主将の高山や副将の菊地が負傷離脱する苦しいスタートだったが…。

J2優勝を達成した湘南は、曺監督(中央)のもと常に試合内容に目を向けてシーズンを戦ってきた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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[J2リーグ39節]湘南1-1岡山/10月29日(日)/Shonan BMWスタジアム平塚

 試合終了の長い笛が雨空に響く。笑顔と涙と、選手たちの様々な表情が激しい風雨のもとで混ざり合う。J2リーグ39節、首位の湘南は岡山との一戦に引き分け、勝点1を積み上げてリーグ優勝を決めた。
 
 苦しい展開だった。限られたチャンスをゴールに結び、前半のうちに先制したものの、後半相手にシュートの山を築かれ、終盤に追いつかれもした。だが攻勢にさらされても、GK秋元陽太を中心に全員で身を挺す。勝つために守るべき時間帯を受け止める戦いは、チームの今季の成長を象徴するようでもあった。
 
 ゲームキャプテンを務める菊地俊介は言う。
 
「今年は1点差をモノにする試合が多かったし、どちらに転んでもおかしくないゲームがシーズンを通してたくさんあった。今日は最後1点取られてしまいましたけど、その後やられてもおかしくないピンチでスライディングするなど、みんなで身体を張って守った。ああいうプレーが今年の湘南を象徴するシーンだと思う」
 
 昨季のJ2降格を経て「ゼロからのスタート」を掲げた今季。だが主将の高山薫や副将の菊地、2014年からの歩みを知る藤田征也らがシーズン序盤に怪我で離脱を余儀なくされる。開幕から勝点こそ積み上げたものの、相手の湘南対策は進み、また6節・讃岐戦をはじめ幾度か0-3の大敗を喫したように、勝利と敗北は紙一重で隣り合っていた。
 
 苦しい日々のなかで、チームはしかし曺貴裁監督のもと、勝敗ではなくゲームの内容を常に見つめ、反省と修正を粛々と繰り返した。そうして攻守に仕掛ける自分たちのスタイルを育みながら、状況判断や勝つための振る舞いを身に付けていく。出場にかかわらずトレーニングの温度は高い。主将や副将の不在をそれぞれが受け止め、勝負に対する責任感を個々に逞しくした。
 
 もしも彼らが言い訳を探すようなマインドであれば、こんなふうに逆境を覆せはしなかっただろう。例えば、岡本拓也は率直に振り返っている。
 
「特に前半戦はきつかった。薫くんや俊くんや征也くんがいないなかで、どうしていかなければいけないか、みんなが自分に矢印を向けて考えた。僕自身、自分がチームの勝利への責任を負っていかなければいけないと思いました」
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