酒井は奮闘、伊藤は観客沸かす! ハンブルク敗北も、王者相手に10人で最少失点に止める

カテゴリ:ワールド

サッカーダイジェストWeb編集部

2017年10月22日

反撃の意思を示した失点直後のドリブル

終盤は相手のスピードについていくのが辛そうだった酒井だが、必死に食らいついていた。失点直後のドリブルには気合が漲っており、チームを奮い立たせたのではないだろうか。 (C) Getty Images

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 10月21日(現地時間)、ブンデスリーガ第9節が行なわれ、ハンブルクは0-1でバイエルンに敗れた。


 前節までの3試合で高い評価を得た20歳の伊藤達哉は、チャンピオンとの対戦ではベンチスタートとなった。一方、キャプテンの酒井高徳は左SBではなくボランチとして起用。強敵相手のホームゲームで、より深く試合に絡む大事な役割を与えられた。
 
 ハンブルクは、バイエルンの強力な攻撃に備えて3バック(5バック)を採用。しっかり守りを固め、失点を防ぐことを第一としながら、機を見て反撃を仕掛ける戦法を採ったが、先にシュートを撃ったのは彼ら。3分にハーンが遠めから放った鋭いミドルは、GKウルライヒの正面に飛んだ。
 
 試合は当然と言うべきか、ボールポゼッションでバイエルンがはるかに上回るが、意外にもハンブルクを慌てさせるような猛攻は見られない。
 
 3日前にチャンピオンズ・リーグでセルティックと戦っており、またメンバーも5人入れ替えたことが影響したのだろうか、バイエルンは連係で崩すという場面はほとんどなく、個人の力に頼る単発な攻撃は、ことごとくハンブルクにはね返された。
 
 21分にアラバのスルーパスで抜け出したロッベンが、左に流れながらシュート(サイドネット外側)を放ったプレーが、ハンブルクにとって唯一危険な場面であり、バイエルンが攻めあぐねたことで、試合は長く膠着することとなった。
 
 ハンブルクにとっては狙い通りの展開と言えたが、38分にホームチームは大きなハンデを背負うこととなる。カウンターからドリブルを開始したコマンに対し、MFユンクが危険なタックルを仕掛けて、一発退場となったのである。
 
 数的優位に立ったバイエルンは後半、いまひとつだったハメスに代わってミュラーが出場。そしてこのハインケス監督の起用が当たり、52分、左からクロスが入ると、混戦のなかでボールを拾ったミュラーが左に流し、トリソのゴールをアシストした。
 
 しかし、ここでバイエルンにもアクシデント。先制ゴールを演出したミュラーが足を痛め、チアゴとの交代でピッチを後にしたのである。
 
 一方、ついにリードを許したハンブルクだが、53分、酒井が右サイドからドリブルで中央へ突き進み、ペナルティーエリアに入ろうというところでようやく止められる。こぼれ球をハーンが拾って放ったシュートはクロスバーを越えたが、ハンブルクにとってこの試合最初のチャンスであり、スタジアムも沸いた。
 
 反撃の意思を示したハンブルクだったが、やはり強敵相手に数的不利を背負っては、守勢に立たされるのも当然であり、以降は自陣ゴール前で長い時間を過ごしていくこととなった。
 
 バイエルンはゴール前に築かれた壁を何とか崩そうと、中央、両サイドから様々なかたちでボールを入れていく。コマン、アラバがドリブルで仕掛け、ロッベンはカットインからシュートやパスを見せ、トリソは追加点を狙ってゴール前に飛び出し、そしてジューレは強烈なミドルを放った。
 
 71分には、CKからエリア手前でボールを受けたチアゴが、左隅を狙って巻いたシュートを放つが、ボールはポストに弾かれる。
 
 バイエルンの猛攻をしのぎ続けるハンブルクは、76分にファン・ドロンヘレンに代わって伊藤が登場。いきなり右サイドでボールを受けると、コマンにドリブル勝負を仕掛けてホームのサポーターを喜ばせる。83分には左サイドをドリブルで進み、奪いに来たビダルを簡単にかわす冷静さも見せた。
 
 試合は終盤、バイエルンが猛攻を展開。82分にロッベン、83分にトリソ、85分にビダル、88分にまたロッベン、そしてアディショナルタイムにはレバンドフスキが決定的なシュートを放つが、GKの好守、ポスト、そしてミスによって追加点は阻まれた。
 
 試合は1-0で終了。バイエルンは勝点3を加え、首位ドルトムントに並んだ(得失点差で2位のまま)。ハインケス体制となってからは3連勝・無失点を維持したが、ミュラーの負傷交代、多すぎる逸機など、手放しでは喜べない勝利だったと言えよう。
 
 対して勝点なしのハンブルクは、8割がた相手にボールを持たれ、勝機を見出すこともできなかったが、強大な敵に対してプラン通りに試合を進め、アクシデントにも対応し、粘り強い守備で相手のシュートミスを誘うなど、やれることはやったという試合だったのではないだろうか。
 
 前節マインツ戦では酷評された酒井だが、守備ではピッチを幅広くカバーし、足を攣らせながらも相手に食らいつき、存在感を示した。そして伊藤。決定的なプレーはなかったが、彼にボールが渡りそうになっただけでスタジアムが沸くなど、改めて期待の高さが窺えた。

15分強の出場時間に止まった伊藤。ボールに触れる回数は多くなかったが、攻守で位置取りの良さを感じさせた。 (C) Getty Images

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