物事が動き出したのは、バルサが本拠を構えるカタルーニャ自治州で、スペインからの独立の是非を問う住民投票が行なわれた現地時間10月1日だ。投票やデモ集会を阻止しようとスペイン中央政府が送り込んだ警察や特殊部隊と現地住民が衝突し、延べ840人以上が負傷。さらに一部投票所が封鎖されるなど、緊張感が高まった。
この異例の事態にバルサは、同日にカンプ・ノウで行なわれたラス・パルマス戦(リーガ・エスパニョーラ7節)を急遽、無観客で行なっていた。バルトメウ会長はこの無観客試合の開催について、「空のカンプ・ノウは、カタルーニャで起きていることへの抗議だ。世界に向けてカタルーニャの現実を発信し続ける」と強気に語った。
賛否を問う投票は9割が「賛成」という結果に終わり、独立に向けた動きが強まるなか、バルサ、エスパニョール、ジローナというカタルーニャに籍を置く1部クラブには今後、リーガ・エスパニョーラ離脱という可能性が高まる
というのも、スペインのスポーツ法では、国内の連盟に属さないチームが国内リーグでプレーすることは認められていないのだ。リーガのハビエル・テバス会長は、「もし独立となれば、カタルーニャの3クラブはラ・リーガに在籍することはできない」と断言している。リーグ・アンのモナコ、プレミアリーグのスウォンジー(ウェールズ)のように、現在はアンドラのクラブだけは特例によりスペイン国内リーグを戦っているが、カタルーニャのクラブが同じ措置を取られるかは不明だ。
こうした状況を熟知するバルトメウ会長は至って冷静だ。
「カタルーニャ自治州が独立した場合、我々はどのリーグでプレーするか選ぶ必要がある。現在は困難で複雑な状況だが、今後については冷静かつ賢明に判断したい」
つまりバルサとしては現状、カタルーニャ・リーグを立ち上げてもレベルを保つのが難しい以上、プレミアリーグ、セリエA、ブンデスリーガ、リーグ・アン、ポルトガル・リーグなど他国に戦いの場を求めるしかないということだ。
また、バルサは公式サイトにおいて10月3日にカタルーニャ州全土で行なわれる始まるストライキに参加するため、トップチームおよびユースの練習、さらにクラブショップなども含めたすべての活動を停止することを発表している。
「10月1日に起きた出来事について、憤っているすべての人々に加わりたい」と声明を発表したクラブの決定についてバルトメウ会長は、「これは会長として下した最も難しい決断の1つだった」としながらも、世界のバルサ・ファンに対して理解を求めた。
「私たちの国で目撃した事実は、とても受け入れられるものではなかった。カタルーニャ人への尊重を求め、我々は再び立ち向かうつもりだ。我々は民主主義のために立ち上がった匿名の市民との連帯を表明したい」
カタルーニャ独立運動はサッカー界にも大きな影響を及ぼす事柄だけに、今度も動向を注視していく必要がありそうだ。
